国土交通省がホテルの新築や建て替えの際に容積率を緩和するよう方針を固めたようで、夏にも自治体に通知する方針だそうです。
大阪や京都、東京などでは宿泊施設の不足が深刻化しており、民泊を認める条例も各地で出てきています。
その中で民泊だけでなく、ホテルの建築を推進するための政策として今回の話が出てきています。
訪日外国人旅行者の数値目標として、2020年には4000万人、さらに6000万人の目標数値を達成するための施策として宿泊施設を増やそうという試みですね。
現在でも大阪市の中心部ではホテル建設用地の需要がとても高まっており、分譲マンションデベロッパーとホテル業界が土地取得を争っています。
その影響で2、3年前に比べ土地価格は高騰しています。
それでもなかなか手に入らないような状況は続いていましたが、今回の施策によってホテル業界には有利に働きそうです。
容積率の緩和ということは、例えば容積率が400%の土地で土地面積が200坪あったとしたら、建物延べ床面積は800坪分建設できることになります。
これが600%まで認められるとなれば1200坪まで建築できることになります。
建築費は同じだと仮定すると、今まで容積率400%の300坪の土地と同じ価値を見出せるわけになります。
単純にこの場合1.5倍の坪単価まで出せるということになりますよね。
さらに中心地の土地価格は上昇しそうです。
古い雑居ビルが建っている幹線道路沿いの土地など価値が高まりますね。
容積率が緩和された場合、土地価格だけでなく、売買しなくてもお金に変えることが出来る方法があります。
ビルはそのまま利用し、余った容積率を売却するという方法です。
空中権の移転という方法です。
これは東京駅改築の際にも少し話題になりました。
自分の土地の容積率を隣接する土地に譲渡するという方法です。
登記をすることにより有効になります。
登記された土地は建て替えの際にもその利用された容積率分は使用できなくなります。
単独では高層の建物が建てれない場合でも隣接地の空中権を利用することにより、高層の建物が建てれることが可能になるのです。
都心部でも低層の建物も多く存在します。一階でお店をやっていて二階に住居があってという古くからある商店なども存在します。
そういった建物に対して売却する、賃貸するといった方法だけでなく新たな活用方法の一つとして空中権は存在します。
大阪でいうと、日本橋という場所は昔からの電器屋街でした。
それも大型量販店の相次ぐ出店でお客様の流れはどんどん少なくなり空き店舗も目立つ時期がありました。
今ではオタロードとなって生まれ変わり多くの人で賑わっています。
松屋町という人形店が多く建て並んでいる場所があります。
今でも数は少なくなりましたが、まだいくつかのお店は残っています。
そこも空き店舗が目立ち閑散としていたのですが、元々の立地が良かったので、今は賃貸マンション、分譲マンションなどに生まれ変わっています。
空中権の売買なども行われれば、高層のホテルや大型のホテルなども建築可能になります。
これからはそういった地域もホテルに建て替わっていくのでしょうか。
観光地になっていけばいくほど土地価格は高騰します。
パリやハワイなどでもそうですが、観光地近くの土地価格やマンション価格も自然と上昇します。
大阪や京都、東京はもちろんの事、これからは逆ドーナツ現象ですね。
都心部にどんどん人は集まり、周辺都市は人口減少の影響を受けてくるでしょう。
現に今の賃貸情勢を見ても言えることですが、中心地にマンション建築がどんどん進み競争は激化しています。
それに伴い賃料も下落しました。
中心地と周辺地域の価格差は少なくなり、また自然と中心部に人が集まりだしたのです。
需要と供給のバランスです。
これからは時間がかかるかもしれませんが、中心部の賃料は上昇していくかもしれないですね。
ホテルが増えればそれに伴い従業員の住居も必要になります。
観光客相手のビジネスも活性化するでしょう。
そこにも住居の必要性が生じます。
そう考えるとこういった施策を次々と考え出す今の政府には感心します。
100年続いたシャープが台湾企業に買収され、日本の地場産業が衰退していく中で黙って指をくわえていてはどうしようもないですからね。
そのうちカジノ法案なども再燃するかもしれませんね。
もっともっと大阪を元気に。
日本を元気にして欲しいですね。