この記事では日本とドイツの住宅事情を比較しています。

日本では住宅の価値はおおよそ20年でなくなり、住宅としての評価がされなくなります。
今インスペクションの活用でこの流れにメスを入れようとしていますが、まだまだ浸透しているとは言い難い状況です。

ヨーロッパ各国を見ても、古いアパートやマンションなどの住宅の方が風情があり人気があったりします。
では日本ではどうでしょう?
古い家や古いアパートは風情どころか老朽化して朽ち果てている建物がほとんどです。なぜこういうことになるのでしょう?

まず工務店に相談しても、たいがいは取壊して立て直しましょうと言われてしまいます。
すでに建てられている建物も50年、100年住み続けれるように造られてもいません。
そして住んでいる人もメンテナンスをするという概念もあまりありません。

でも昔からそうでしたでしょうか?

今でも残っている古民家、旧家は100年近く経っていても立派に存在します。
風情も醸し出しています。

その頃建てられた建築物は100年、200年住み続けれるように建築されているのですよね。

今ではそういった建物を風情を残しつつリフォームするという流れも出ていますが、こうした大掛かりな資金を使ったリフォームを施されるのはほんの一部です。

ここ30年、40年建てられた建築物が酷すぎるのですよね。
住宅ローンが生まれたのは1970年台です。田中角栄の日本列島改造論の時代です。
高度経済成長の時期で景気はどんどんよくなり、所得も増え続けていきます。
今まで借家だった人たちが住宅購入に流れていくわけですが、その時に『安かろう悪かろう』の住宅が乱立したわけですよね。

こういう流れを作ったのは不動産業界であり、建築業界です。
建てれば売れる。
売れるからどんどん建てる。
そこには売れるためにモノを作るという基本概念が欠如していたのではないでしょうか?

20年経って使い物にならないモノを1000万、2000万で売ったらダメでしょ・・

総務省の調査では2013年の総住宅数は6063万戸で総世帯数の5245万戸を大幅に上回っていて、それでもなお年間90万戸の新築住宅が建築されています。

必要としていないのに売るために建てているということなんですよね。



ただ所有している人たちにも問題は少なからずあります。
自分の資産と思うならもう少し家を大切にしなければいけません。
屋根を葺き替える。
壁を塗り直す。
ニーズに合ったようにリフォームするなど、定期的にメンテナンスをしていれば家は長持ちしますし、長い期間使い続けることもできます。
マンションは修繕積立金や管理費が必要だけど戸建は必要ないから支払いが少なくすむからいいよね。
こんな感覚で戸建を購入したらダメです。
管理組合がなく、大規模修繕の計画を誰も建ててくれるわけではないのですから、自分で計画的に積み立てていかなければいけません。
この記事のように太陽光発電で資産価値を上げていくというのも一つの方法です。
光熱費0や逆に住んでいて利益が出る住宅なら売却する必要もないし、売却する時に価格に反映ができそうですもんね。

大阪市内では現行の建築基準法に適応していない住宅がたくさんあります。
そういった住宅の多くはすでに違法建築で建てられていますから、建物の程度もよくはありません。

そういった住宅にインスペクションを付帯したところであまり説得力がないような気はします。

基礎から屋根まで躯体全てをリフォームしなければいけないよという診断を出せるわけもないでしょうし、そういう診断結果が出たところでリフォームも売却もできなくなってしまいます。

一戸建なのに建築確認申請の時に連棟申請で出されている住宅もたくさん存在します。
もちろん建ぺい率、容積率オーバーです。
小さな土地に大きな建物を無理矢理はめ込むためにそういった申請が多くされています。

こういった建築物はやはりスクラップ&ビルドしかないのでしょうか?

まだまだ課題は山積みです。
安易に安かろう悪かろうの住宅を購入してはいけません。

これから住宅を購入しようとしている方。
これから新築を建築しようとしている方は、是非そういったことも考慮しながら親身になってくれる工務店や不動産会社とお付き合いをすることをお勧めします。

せっかく住宅ローン金利が安くなり毎月の支払額も抑えられても20年持たない建物を35年かけて払っていくのはナンセンスですからね。
50年持つ建物を35年ローンで支払うから初めてメリットがあるのです。

自分の支払可能額でローンを組むのではなく、自分の住みたい住宅にこそお金をかけるべきですし、そういった住宅にこそ35年もローンを払い続ける意味があると思うのですよね。

みなさん家選びは慎重にいきましょうね。