築年数の古い物件、例えば木造の築30年の物件を購入したとします。
木造住宅の耐用年数は22年ですから耐用年数を過ぎています。
この場合は耐用年数×20%で4.4年、一年未満は切り捨てになりますので、減価償却の年数は四年ということになります。
物件価格のうち建物価格、土地と建物の価格の振り分けをいくらにするかという問題がまずあります。
まず売買契約書に建物価格が記載されている場合、この場合はその金額が適応になります。
次に記載がない場合、この場合は固定資産税の評価額で土地と建物の価格を按分します。
評価額の金額によって割合を求め、建物価格を割り出します。
この場合は自然に計算されますので、あとは計算式にのっとって算出するだけです。
減価償却を多く使いたいからとか、売主が消費税課税業者で売買価格のうち建物の消費税分を納税しなくてはならないケースで、売主が建物価格を抑えたい場合などは、売買契約書に建物価格を入れ込むことがあります。
売主都合であっても、買主都合の場合であっても購入側は建物価格が高い方がいいのでしょうか?
確かに減価償却を四年で出来るとなると
建物価格が400万円(物件価格600万)とすると年間100万円も経費計上出来ますので、不動産所得はほぼかからなくて済むかもしれません。
逆に不動産所得は給与所得と通算できますので税金の還付も受け取れることになります。
減価償却は魔法の経費と言われる所以です。キャッシュフローが伴わない経費です。
でも本当にそうなのでしょうか?

減価償却されるということは物件の帳簿価額が減少するということです。

つまり、

売却する際の元になる金額が減っているということです。

つまり、

売却した時の不動産譲渡税の対象となる原価が少なくなるということですを

つまり、

売却した時に利益がたくさん出るということです。

あれ?
いいことじゃないの?

と思うかもしれませんが、

利益が出れば不動産譲渡税というものを支払わなければいけません。
この不動産譲渡税というのは、所有期間によって税率が変わります。
1月1日目現在で所有期間が5年を超えていれば長期譲渡、超えていなければ短期譲渡ということになります。
その税率は長期譲渡で20.315%、短期譲渡で39.63%になります。
例えばさっきのケースで四年後に売却したとすれば、減価償却が全て終わってしまっているので取得原価は200万円になってしまいます。(仲介手数料などのその他の取得原価を除く)
この物件を購入時と同じ600万円で売却したとしますと、600万-200万円万(減価償却分控除後)で400万円に対しての39.63%分158.52万円が納税しなければいけない金額になります。
では、減価償却で軽減できた税率はどのくらいだったのでしょう。
不動産所得は給与所得と通算できますので、年収600万くらいですと所得税は約10%、住民税も10%と考えると年間20万円ほど軽減できたことになります。
4年間で80万円。
80万円節税して、158.52万円納税することになります。
では、同じケースで建物価格が100万円だったとしましょう。
この場合なら所得税の軽減が4年間で20万円。
譲渡した時は600万-500万円で、不動産譲渡所得100万円に対しての39.63%の39.63万円が不動産譲渡税の金額になります。
20万円軽減して納税額は39.63万円。
どちらが得だったのでしょうか?

もちろん長期譲渡になるのか短期譲渡になるのかによって税率は全然違いますし、建物価格によっても異なってきます。
でも共通して言えることが、将来にわたり売却する可能性があるかどうか?
売却するなら減価償却というのは諸刃の剣です。
売却しない場合でも、減価償却期間が終われば所得丸々に対して課税されることになります。
よく減価償却を利用する方法で区分所有建物を30年ローンとか35年ローンで買わせる不動産業者がいますが、これは売却を前提にしていないのと、高額な給与所得の方限定で通じる方法です。
実際10年後、15年後に売却すればローン残債を大きく割り込む金額でしか売却できませんので、売り側にすればその想定は必要ないのですよね。
その頃には担当者は辞めていますから。
減価償却というのは『魔法の経費』ではなく、『悪魔の囁き』なのですよ。

減価償却をセールストークに不動産を売る業者さんには騙されないようにしてくださいね。