インバウンド需要で沸く大阪。
中心部の収益物件価格は上昇しています。
さらに民泊需要の増加で、マンションの一室で民泊運営をする方も増加の一方です。
物件を購入して始める方、賃貸をお借りして始める方、元々所有している物件で始める方、いろいろな入口はありますが、大阪市中央区、大阪市浪速区の物件の増加数は東京をも凌ぐ勢いです。
今年の春のシーズンでは一般の通常の賃貸での部屋探しでも、なかなか部屋が確保できないという状況にもなりました。
これから大阪市の民泊条例の施行も控えていますし、今後どうなるのか少し検証してみたいと思います。

まず、大阪市の民泊条例が比較的申請しやすい条例になった場合。
オーナー自ら申請し、民泊運営に参入してくる方もかなりの数増加すると思われます。
オーナー自らが申請しなくても、部屋の管理を任せている不動産会社が代理で運営することも考えられます。
今の現状では、一般の賃料よりも3倍近い収益が民泊運営で可能になっています。
数が増えればこの収益を圧迫することにはなるでしょうが、それでも一般の賃貸に貸すよりも収益性が向上するのは間違いないでしょう。
今何故オーナー自らやらないのか?
それはこの条例の問題があります。
収益マンションオーナーは全て自己資金で建物を所有しているわけではなく、金融機関などから融資を受けて購入したり、新築マンションを建築したりしています。
古い建物で返済が全て終わっているというケースももちろんありますが、中心部の収益物件で抵当権が付いていないという物件にはほとんど巡り会いませんので、ここでは融資を受けている前提でお話します。
融資をしている金融機関には、モラルハザードという問題があります。
違法性のあるものには融資をしないという大原則があり、今回の民泊運営はまだ法整備がされていないため、融資物件に対してどういう使われ方をしているのかということを問題視します。
オーナー自ら民泊を運営していると公言してしまうと、今後の融資や、現在の融資に悪影響を及ぼしますので大々的には行うことはできません。
でも、法令遵守できる状態になればどうでしょう?

金融機関も民泊運営前提で不動産を取得することに対して、抵抗なく融資が付くことも予測できます。
その場合多くのオーナー様、多くの管理会社が参入してくることは容易に予測出来ます。
現在民泊を完全に否定している管理会社でも、条例が出来上がって、きちんと申請するなら許可するよというスタンスの会社も少なくはありません。
といっても前述した通り、そうなればその不動産会社が自ら運営、オーナーの代行として運営する道を選択することは否めません。
今年の年末から、来年にかけて民泊の数はもっと増加することが予測出来ます。
とすれば、どういうことが予測されるのか?
オーナーに無許可、管理会社に無許可で運営している方は100%撤退を余儀なくされます。
だって、賃貸借契約違反ですから。
転貸不可、第三者の無断使用不可はどの賃貸借契約書にも記載されています。
次に考えられるのは、供給過多による宿泊料のディスカウントです。
でもこれはサービスの内容、立地、運営する立場の人のスキルによって回避することはできます。
だって自分がホテルに泊まる際に、料金だけでは判断しないですよね。
広さや立地、サービスなどの基準によって判断しますし、他にないサービスを提供出来ていればonly oneになれますからね。
価格競争が起こったとして、どれくらいの価格まで下がるのでしょう。
前回のブログでも書きましたが、古ぼけた旅館の素泊りで一人一泊2500円とかします。
もちろん朝食、昼食、夕食抜きです。
ワンルームに二人宿泊するとして、一泊5千円を下回らなければならないほど供給過多になるとは思えません。
一泊5千円として、1ヶ月のうち7割稼働して単純に月額105000円。
今の三点ユニットの1Roomの賃料が4.5万円とすれば、それでも倍以上の収益を生みます。
さらに連休時や週末など、ホテルの予約が取りにくいタイミングでは2割から3割は料金をあげれるわけです。
そうなると先ほどの賃料の3倍というのは、そんなにハードルの高くない話だとご理解いただけると思います。
こうしたことがどういった影響を及ぼすか?
今パリでも民泊が問題視されています。
観光客相手に民泊運営する部屋がかなり増えているそうです。
それにより、一般の賃料が値上がりしているそうなのです。
普通の市民が部屋を借りれないという現象になっているようです。
これに伴い不動産価格も上昇しています。
当然利回りが向上するからですが、不動産所有者にとってはいいこと尽くめです。
借り手側とすれば隣の部屋で旅行客がいてるは、賃料は上がるわでいいことは一つもないのですよね。
静かに居住しようと思っている方は、都心部から離れて部屋を借りることになります。
そうなると、今の中心地一局の賃貸需要にも変化が起こるかもしれません。
周辺地域でも賃料減少の歯止めが効くかもしれません。
いずれにせよ、このインバウンド需要により不動産価格は上昇の一途です。
しばらくは続くことが予測されます。
ただし、先日の熊本のような地震や天災が起こってしまうと状況は変化してしまいます。
観光客離れ、外国人投資家の日本の不動産離れが起こってしまう可能性があります。
今怖いのはこの天災だけです。
でもいつ起こるのか分からないのが天災です。
今の過熱している需要が一気に冷え切る恐れもあります。
考えたら怖いですね。
不動産投資の一番のリスクはこの天災だと思っています。
もちろん天災があれば日本の株価も下がりますので、どの投資先でもリスクはあるのですけどね。

こうした天災が起きずに、日本の不動産株価が上昇し、インバウンド需要で日本の景気がよくなり、国民の皆さんの景気がよくなることを期待しましょう。