今日は競売物件のメリットとリスクのお話を。


まずはメリットから。

1)一般市場よりも安く購入できる

競売物件の売却基準価額は一般市場の40%~50%に設定されています。

実際の落札価格でも一般市場の80%前後で落札されています。

『えっ?そんなものなの?もっと安いと思っていた。』

という人もいるかとは思いますが、入札の多いエリアの物件では市場価格の1割減くらいの相場で落札されているケースも増えています。

もちろんこの落札価格というのは物件ごとによって変わりますので、中には市場価格の半値以下で購入できたのではという物件もあります。

いずれにせよ、一般市場よりは安く購入できるわけですからこれが最大のメリットです。

2)人気エリアの流通の少ない物件が手に入る

次に人気のエリアの物件、人気のタワーマンションなども競売に登場したりします。

一般市場に出たとしても秒速でお客さんがついてしまうエリアの物件でも、競売なら入札期間中じっくりと入札金額を吟味できます。

3)先着順ではない

最後に競売というものは入札期間が決められており、誰もがその期間中に入札しなければならず、その期間中に最高値を付けた人が最高価買受人となります。

つまり、早い者勝ちではなく、より高値を付けた人が買受できるわけです。

『不動産って情報が命だから、一番先に情報が入ってくる不動産業者さんがいい物件を先に買っちゃうんでしょ。』

普通の一般流通の不動産物件ならそうですよね。

再販して利益の出そうな物件があれば自分で仕入れて再販売して利益を作ることが可能です。

なので自社で仕入して再販している会社さんが勧めてくる仲介物件は

『自分が購入したいと思わなかった物件。』

『自分が購入するには金額が合わなかった物件。』

ということになります。

再販して利益分を確保しようとすると最低でも相場の2割から3割程度は安く仕入れないといけませんから、その目線に合わなかっただけなのかもしれませんけどね。

でも、競売物件の場合は不動産業者さんも一般のお客様も同じタイミングで入札しなければなりません。

早い者勝ちではなく、不動産業者さんと同じ条件で入札、落札が可能です。

つまり不動産業者と同じ土俵で戦える唯一の市場なのです。

次にリスクの面を考えます。

最大のリスクは

1)内覧ができない

ここではないでしょうか。

競売物件の内覧は基本的に不可です。

債権者に申し出をし、手順を踏めば内覧することは不可能ではないのですが実務的にはかなり難しい話になります。

3点セットと呼ばれる資料を基に入札価格を判断しなければいけません。

2)購入後の保証がない

競売物件には瑕疵担保というものがありません。

購入後に雨漏りをしていた。

床が抜けていた。

というようなことが判明しても弁済をしてくれるわけではありません。

ただ、この辺の状況も3点セットの中の現況調査報告書というものの中に記述があります。

雨漏りの形跡がある。

壁面にひび割れがある。

というような供述がありますので、隅から隅まで目を通しておけばある程度のリスク回避は行うことができます。

3)保証金が最初に必要

競売物件に入札するのには最初に入札保証金の供託が必要です。

これは売却基準価額の2割と定められておりますので、この分の保証金は落札の如何にかかわらず入札前に必要になります。

もちろん、落札できなかった場合はすぐに返金されます。

大阪市の場合は開札日から1週間もかからず返金されます。

4)確実に購入できるかが分からない

当然ですが、最高価買受人になれなければ購入はできません。

また、入札期間中でも案件が取り下げられることがありますので、開札日に裁判所で取消になっているのを見てがっかりということもあり得ます。

5)鍵の引渡しがない

基本的には前所有者による鍵の引渡し義務はありません。

なので、コンタクトが取れないケースでは鍵の引渡しが困難です。

その場合は引き渡し命令→強制執行という手続きになりますので時間を要することになります。

6)融資が受けづらい

競売物件に対してイメージがよくない金融機関もいまだに存在します。

自己居住用の場合はまだ取り扱いが可能なのですが、収益用、投資用としての融資付けには多少苦労します。

信用金庫、信用組合さんなどと事前のお付き合いのある場合は別ですが、初めての不動産投資で競売物件での融資付けとなるとタイムスケジュール的に難しくなることもあり困難を極めます。

以上がリスクの部分になります。

リスク面を考えると、やはり最低でも相場の1割~2割は安く購入しないと割に合わないというのが個人的見解です。

1割はともかく、2割安以上で購入しようとすると1回、2回の入札では落札できないと思っていただいた方が賢明です。

この相場というものは私たちのような仕事をしていれば自然に身につくものですが、一般の方には分かりづらい指標です。

なので怪しい競売代行業者さんなどではこの相場を高く指示し、落札しやすい金額に誘導することも少なくはありません。

ご注意くださいね。

また自分で勝手に相場を判断することも危険です。

不動産の価格を決める要素はいくつもあります。

誤った相場観で入札してしまうと、相場以上の金額で落札してしまうこともあります。

過去にお話ししたお客様の例で

『建築基準法上の道路に面していない再建築不可の物件を近隣の土地相場で落札してしまった。』

ケースや

『持ち分割合があり、全部の所有権を移転できない物件を購入してしまった。』

という例もありました。

こうした場合でも

『知らなかったからキャンセルしたい。保証金は戻ってくるの?』

と聞かれても、入札した保証金の返還はありません。

残りの代金納付をしなければ、残代金の支払いは必要ありませんが、一度入札した保証金は返金されません。

なので、不動産の知識のない方はプロの不動産屋さんにアドバイスを求めることをお勧めします。

競売代行業者さんでも、981.jpのサイトで紹介している業者さん、不動産競売流通協会(FKR)に加入している業者さんなら落札代金の3%+消費税の手数料でお手伝いしてくれます。

もちろんうちの会社でもお手伝いしておりますので、最初はお気軽にお問い合わせください。

981


次回のブログでは、競売の3点セットの見方をご説明いたしますね。

こちらにもご期待ください。