多分永遠のテーマだと思います。

『賃貸』と『購入』 、どっちが得なのかというお話です。

最終的にどっちが得なのかは購入する物件、賃貸相場と購入相場との乖離がどのくらいあるかによってももちろん変わります。

単純に家賃10万円の物件があったとして、その物件を2,000万円で購入できたとしたらどうですか?

1年間で120万円、10年間で1,200万円。
2,000万円で購入できるとすれば200ヶ月分、16年半ちょっとで買える計算になりますから、いいお話かもしれません。

逆に4,000万円だったとしたらどうですか?
400ヶ月、33年ちょっとかかりますから、賃貸の方がお得なような気もします。

エリアにもよるとは思いますが、実際には住宅ローンの支払額と同じ家賃では購入する物件より1ランク下の物件になってしまいます。
もし単純に同じような支払額ならどうなのかなというシュミレーションを作ってみました。

家賃と住宅ローンの比較

家賃7万円(共益費込)の賃貸物件、価格2,500万円の分譲マンション、3,000万円の一戸建で10年間の支払い総額を計算した表です。

家賃の場合、10年間家賃の上昇、値下げがなかったとすると10年間の総支払い額は1,020万円です。
分譲マンションの場合、2,500万円を借入れ、金利0.7%、35年返済で考えています。
住宅ローン控除で所得税、住民税を控除した後の金額、固定資産税、都市計画税も組み入れて考えています。
その総額は1,011万円になります。
そして最後に一戸建の場合、こちらは3,000万円の借入で同じく金利0.7%、35年返済で考えています。
こちらの総額は1029万円でした。
多少の誤差はありますが、ほぼ同額ですよね?

これだけじゃ優劣はつきませんので、他の要素を組み込んでいきます。
住宅ローン控除は10年間しか受けることができません。
総額が同じでも、10年後からは控除の恩恵を受けれませんから賃貸物件の方が安くなっていきます。
賃貸物件の場合は、退去、引越しすればそこで終了です。
売却物件の場合は、売却価格ーローンの残債がいくら残るかによって、トータルの収支はここからマイナスになるか、プラスになるかが分かれます。
住宅ローン控除の額は年末の住宅ローン残高の1%です。
つまり、この表の住宅ローン控除の金額に100をかけた数字が年末の時点での残債額になります。
分譲マンションの場合、5年後の数字は217,923円ですので、住宅ローン残高は約2179万円になります。
同じく10年後は1847万円。
一戸建の場合は5年後で約2615万円、10年後で約2216万円です。
2,500万円で買ったマンションが5年後に2179万円以上、10年後に1847万円以上で売れればこちらの方が安くついた。
逆にこの価格以上で売れなければ賃貸物件の方が安くついたということになります。
戸建の場合も同様です。
3,000万円で購入した物件が5年後に2615万円、10年後に2216万円以上で売れればオッケー、それ以下なら残念といった結果です。

いずれの場合も5年、10年で大規模な修繕を施す必要もないでしょうから、単純にこの比較だけで見ることにします。

今の不動産市況なら分譲マンションでも戸建でも先ほどの数値は軽くクリアしそうな数字です。
つまり、5年前、10年前に購入している方は『家を購入していた方がだった。』
ということになります。
これも売却できて初めてそう言えるわけですから、いずれにせよ売却のタイミングはとても重要だということになります。
マイホームを購入する人は、最初から売却を視野に入れて物件探しはほとんど行いません。
売却するタイミングはネガティブな理由、離婚や死別、ローンが払えなくなったという理由がほとんどです。
景気の良かった時代は住み替え、ステップアップで住宅を売却していたことも多かったんですよ。
マンションから戸建へ。
小さな戸建から大きな戸建へというように。
今は逆のケースが増えました。
子どもが就職、結婚して親世代だけになり、戸建からマンションへというように。
これはネガティブな理由ではありませんけどね。

ネガティブではないお引越しでは、売却のタイミングを選ぶことができます。
『今は売りの市況じゃないから、そのまま住んでおこう。』
『売却するつもりがなかったけど、この家高く買ってくれそうだからこの際引越しするのもありだね。』
というように。

不動産を売るタイミングは、
『売らなきゃいけないから。』
このタイミングではなく、
『売った方が得するから。』
こういうタイミングで売却したいものです。

買った方が得なのか、賃貸のままが得なのか。
これは結局売却時の市況によって変わります。
不動産が値上がりしていっている状態なら、売却時のキャピタルゲインが得れるので購入した方が得。
逆に値下がりしていっている状況なら、含み損が増えていくので賃貸の方が損をしないということになります。
結局その時点より、値上がりするのかしないのか?
また賃貸相場がこの先上昇していく(賃貸相場が上昇すれば、今支払っている家賃の負担が増える可能性が高くなる)か、まだまだ家賃は下がると思うのか、どういった見方をするかにかかっています。

ここからは私の個人的見解です。
データに裏付けされたものではありません。
不動産価格は今が最高値というわけではないかもしれません。
でも超長期、15年、20年というスパンで考えた時には高値の時期になっていると思われます。
これは平均所得に比べての不動産価格で考えた時の話です。
家賃は10数年間下落を続けていますが、今後の上昇は見込みづらいと思っています。
新築住宅の着工を抑制するような政策が出されると状況は変わるかもしれませんが、そうなると不動産、建築業界は一気に冷え込みます。
日本の経済もどん底に陥ってしまうかもしれません。
なので、そうした施策は出せないと思っておいた方がいいでしょう。
人口は減少し続け、住宅着工件数は増加し続けている今、家賃相場が上昇するとすればインフレになるしかありません。
インフレになれば収入は増え、支出は増えますが住宅ローンとかの債務の金額は変わりません。

こうなると不動産を所有している人は大勝利です。

でもそんな施策に期待して不動産投資に大金を投じるのは危険ですよね。
ローンを組んで仮にインフレになったとして、不動産価格が上昇する前に金利が大きく上昇するかもしれません。
その金利負担に耐えれる資力がある方なら大丈夫かもしれません。
金利と家賃、不動産価格。
どの順番で高くなっていくのでしょう?
不動産価格、家賃、金利の順番に都合よく上昇してくれれば願ったり叶ったりですが、もし金利から上昇を始めたらどうでしょう?
毎月の支払いに耐えれそうですか?
恐ろしいですよね?

と言っても、金利の変化は突然1%の金利が5%、6%になるわけではありません。
多少の猶予期間はあるでしょう。
そのタイミングでは不動産価格も上昇していっているはずです。

今から不動産投資を始めようとしている方、すでに始めている方は長期の投資ではなく、常に出口を見ながら進めていくことをお勧めしています。
そのまま問題なく推移していけば長期保有でももちろん構いません。
20年、30年のローンを組んでも、その残債額以上で売却できれば何の心配も要りません。
今ならいくらで売却できる。
5年後には家賃が下がりそうだから、それまでに売却しよう。
こういった戦略を立てて不動産投資を進めていくことをお勧めしています。
お客様の資産が増えれば、私の仕事の依頼も増えます。
逆にお客様の資産が減っていけば、私への仕事の依頼は減っていくでしょう。
お客様にとって最良のアドバイスをしていく、これがライフコンサルティングの仕事です。

投資用物件だけでなく、マイホームのご依頼もお待ちしております。
購入する前に、まず相談。

これが失敗しないための最大の防御ですよ。