不動産の謄本って見たことはあるけど、もう一つ見方が分からない、何て方も多いのではないでしょうか?

自宅の謄本を上げてみても抵当権以外の権利関係は付いていないことがほとんどでしょうから、あまりややこしい権利関係の謄本って見ることはないかもしれません。

今日はその謄本の見方をご紹介していきたいと思います。

まず、ここにパソコンで取った謄本があります。

住所とか平米数とか物件を特定できる情報は削除していますのでご了承を。

登記簿

謄本の表題部と記載がある部分

登記簿1

この部分には、まず所在のところにその物件の地番が記載されています。

そして、種類のところにこの場合なら『共同住宅』と記載されていますが、一般の戸建てやマンションなら『居宅』、事務所なら『事務所』などと記載があります。

その次の項目には構造が、『鉄筋コンクリート造ルーフィング葺4階建』、その後ろに各階の床面積と建築年月日が記載されています。

建築年月日が古い建物は『不詳』とかの記載がある場合があったりもします。

いつ建ったのか分かりませんよということなのですが、この場合でも固定資産税の評価証明書には築年月が記載されていることもあります。

昔は登記はあくまで任意のものでしたので、そのタイミングで届出が行われていなかったこともあったりします。

でも固定資産の課税台帳は役所が課税するためのものなので、いつから課税対象になっているかの記載があったりするわけです。

ここまでは見ている謄本が対象の不動産かどうかを識別するための情報です。

次の『甲区』に誰が所有者なのかという情報が記載されています。

また差し押さえの登記や、競売開始決定の登記もここにされることになります。

登記簿2

この登記簿でも差押え登記が入っています。

その前に順位番号というものが振ってあります。

これは登記された順番を記載されており、若い番号であればあるほど古い登記ということになります。

この場合、1で所有権移転登記。

右を見ると平成2年10月17日に相続により取得したことが分かります。

その下に現登記名義人の氏名と、登記した時点の住所が記載されています。

住所変更が行われた場合でも登記する必要はあるのですが、売却のタイミングまで住所変更手続きを行わないのが一般的です。

司法書士の先生に依頼するとこれだけで1、2万円取られたりしますので、そのままにしているケースがほとんどです。

売却時に所有権抹消手続きと同時に住所変更登記も行うことにより、費用は軽減できますのでこのやり方を取ることがほとんどではないでしょうか?

でも、実はこのくらいの登記なら自分でも可能です。

自分でやる場合なら土地が1筆(地番が1つ)、建物も1筆(地番が1つ)の場合なら合計2筆で1,000円×2=2,000円で手続き完了です。

土地が2筆だったり、3筆だったりするとこの数×1,000円の登録免許税が必要になります。

そこはさておき、差押えの登記が入っているような物件なんか大丈夫なの?

こんな声が聞こえてきそうです。

そこで、その差押え登記が現在も有効なのかどうなのかを見ていくことになります。

登記簿3

5,6,7番のところに、〇番差押登記抹消という記載があります。

5番は2番差押登記抹消、6番は4番参加差押登記抹消、7番には3番参加差押登記抹消とありますよね。

それぞれ順番に追いかけていくと、全ての差押登記が抹消されたことが分かります。

つまり、1番の所有権移転以外の甲区の情報はありませんよということが理解できます。

ので、この物件は今は特に問題のない物件ということになりますが、以前は税金を滞納するような状態に陥っていたのかもということが計り知れます。

次に『乙区』の情報を見ていきます。

登記簿4

ここには抵当権、根抵当権など所有権以外の権利に関する情報が記載されています。

地上権、地役権などもここに記載されることになっています。

この場合なら、1番に根抵当権設定とあります。

いつ、どこに、いくら借りたのかかが分かります。

そして、2番にも抵当権設定とあります。

ここでもいつ、どこに、いくら借りたのかかが書いてあります。

この場合も、先ほどと同じで抹消という登記があればその番号の抵当権や根抵当権が存在していないということになりますが、この登記簿では抹消の記載はありませんので、1番、2番とも有効であるということになります。

抵当権の場合は当初借入れた額そのものが、根抵当権の場合は当初借入れた額の1割増し、2割増しで記載されていることがあります。

購入した金額の目安が、ある程度ここを見ると分かるわけです。

当然頭金を入れて購入している場合もありますので一概には言えませんが、最低限ここに書いてある金額以上で売買すれば抵当権は完全に抹消できますので取引が可能になります。

今日の謄本の見方はここまで。

次回は土地の登記簿の見方について説明していきます。

またもっと面白そうな謄本があればご紹介していきますので、そちらもご期待ください。

それでは。




追記:司法書士の先生よりコメントがあったのでその件について

(’根抵当権では
いつ、いくら借りたのかは分かりません。

抵当権もそうですが。 )

➡あくまで目安のお話です。
根抵当権は極度額を設定し、その金額までは担保するという意味合いのもので当然残債がどのくらい残っていて、またいつ追加で借り入れしているかについては謄本では分かりません。

謄本の見方を一般の方になるべく分かりやすくかみ砕いて説明しようとしたつもりですが、専門家さんのご意見にはごもっともだなと。
どんな方が見ていただいているか分かりませんから、注意を払うようにします。

取引にあたっては当然、債権者・債務者に残債、抵当権・根抵当権抹消にあたりいくらの金額を入れるかの聞き取りは必要です。

ただ、そこまで煮詰まった話をする前の段階では、ある程度は計り知りえますよというお話でした。