
ある日元気だったおじいちゃんが突然病が急変して亡くなった。
お通夜が終わり、お葬式が終わり、周りの人間が悲しみに浸っているこのタイミングからすでに相続税の納付期限はカウントダウンしています。
まず、お亡くなりになられた日(死亡の事実を知った日)から7日以内に市区町村へ死亡届を出さなくてはいけません。
その届出義務者(提出する義務がある人)は
①同居の親族
②その他の同居者
③家主や地主、住宅や土地の管理人です。
死亡届には、死亡診断書が必要です。
ここで気を付けないといけないことは、銀行などの金融機関は、口座の持ち主が亡くなった事実を知ったその時から預金口座を一旦凍結します。
つまり引き出せなくなるということです。
新聞の訃報欄や、友人や家族からの伝達、お通夜、お葬式の実施などで知ることになります。
この凍結を解除するには、相続人全員の遺産分割協議書等で誰がこの財産を所有するのか、処分するのかということが決まっているということを証明する必要が生じます。
これはとても大変な作業です。
全ての金融機関が同じタイミングで訃報を知りえることはないので、タイムラグがあるでしょうからそのタイミングでお葬式代、当座に必要な費用等は引き出しておくことが必要になります。
次にお通夜、お葬式になるのですが、ここでかかった費用は一部を除き相続財産から控除できます。
お通夜・お葬式にかかった費用、埋葬代、花代、お寺さんへのお礼、運送費(タクシー代含む)などは費用に計上できますが、香典返しの費用や初七日、法事等の費用は計上できません。
最近ではお葬式と初七日を同時にするケースも多いので注意が必要です。
領収書もきっちりと集めておくことが大事ですね。
ご葬儀が終わり、四十九日が終わるまで相続、遺産分割の話はやめとこうよ。
こんな話は世の中に多いとは思いますが、実はこの考え方がとても危険なのです。
相続税の納付期限は相続の開始を知った翌日から10ヶ月以内です。
10ヶ月以内に相続財産を確定し、なおかつ分割、配分まで決めなくてはいけません。
さらに、もし相続財産が借金の方が多ければ相続放棄や限定承認ができるのですが、この相続放棄、限定承認をするためには、相続のあったことを知った日から3ヶ月以内に家庭裁判所に申述をしなければいけません。
ちなみに限定承認というのは、借金などの債務があった場合でも相続した財産の範囲内で債務負担を受け継ぐとというものです。
この限定承認は相続人全員で行うことが必要で、個別に申述はできません。
つまり、財産がどのくらいあって、また借金がどのくらいあってということを3ヶ月以内に把握しておかないと、放棄や限定承認ができないということです。
『じゃあとりあえず限定承認しておいて、後からゆっくりと把握しておこう。』
こう思うかもしれませんが、そうはいきません。
この限定承認の申述を出す際には財産目録も必要なので、この時点で把握しておく必要があるからです。
相続人が亡くなって3ヶ月以内には財産、債務の把握が必ず必要だということがお判りでしょうか?
そう考えると、四十九日が終わるまで待っていられませんよね。
土地、建物の評価を上げ、預貯金や債務の整理、生前贈与した分まで計算するとなれば、いかに優秀な税理士さんでも数日から数週間は掛かってしまいます。
そう考えると、生前に財産目録を作っておき遺族へ分かりやすく示してあげる。
これが大事ですよね。
相続=遺言書
だけではないのです。
そういえば、以前相続の話で、亡くなった父親の戸籍謄本を上げたら自分の知らない他の子どもが登場したという話もありました。
当然相続人になりますから、この方の行方を追わなくてはいけませんし、遺産分割協議に参加してもらう必要も生じますからとてもじゃないですが3ヶ月というタイムスケジュールでは収まり切りません。
亡くなってから大慌てとならないように、事前準備は大切ですよね。
相続に関しては、また明日以降詳しく述べていきますね。
今日はこの辺りで。