こんなニュースが出ていました。
東京都豊島区の不動産業者がおとり広告をして厳重警告されたという記事です。
1ヶ月半で192件の問い合わせというのもすごい数字ですが、未だにこんなことをやっている業者に失望です。
今賃貸業者の営業マンの大半の仕事はネット入力です。
会社によっては朝から晩まで机の前でネット入力。
しかもいろいろなポータルサイトに掲載して、やっと反響のメールが入ってくるという、いったい何屋さんか分からないような状況になっています。
おとり広告というのは昔からこの業界ではよくやられていた手法でした。
通常の家賃や礼金から格安に見える金額で情報発信し、お客様が来店してから『この物件は決まってしまいました。昨日お問い合わせいただいた時にはまだ空いていたのですが。』とか、
『この物件は少し難がありまして・・』などと話をはぐらかして違う物件を紹介するという詐欺まがいのやり方です。
昔はもっとひどかったのですがね。
あり得ない物件、架空の物件を掲載しておいて、いろいろな理由を付けてその物件を潰し別の物件を紹介していくという、もはや広告でもないおかしなやり方が横行していました。
3LDKが12万、13万円の相場の時に、新築3LDK家賃5万円などと無茶な広告でお客様を呼び込むようなやり方もしていました。
さすがにその流れにはメスが入り、架空の物件の掲載は出来なくなりましたが、決まっている物件でのお客様の呼び込みや、賃料を安めに広告してお客様を呼び込む今回のようなやり方は未だになくなっていません。
ネットで何もかもの買い物が出来てしまう世の中で、そのままの条件で契約出来ない物件が掲載されているこの業界はおかしいですよね。
売り切れの表示がない情報一覧に説得力はありませんよ。
Amazonで買い物してもYahoo!や楽天で買い物しても、売り切れの表示が出てきます。
不動産広告でも本来ならそうあるべきですし、そう出来ないのなら広告してはいけないと思うのですが、ポータルサイト側は掲載課金であるとか反響課金というやり方で、掲載物件が多いほど収益が上がりますから本気で誇大広告、おとり広告を淘汰しようとしているかどうかの疑問も残ります。
この話は賃貸の話だけではありません。
売買物件でも収益物件でも見られます。
賃貸業者に比べたら数は少ないのですが。
業界自体がお客様本位ではないというのが見てとれます。
賃貸業者自体もこのポータルサイトに頼り切った集客方法から脱却しないと多分この先、生き残っていけません。
そうは分かっていても他の方法が思いつかない。
そうすることで何とかお客様が拾えるので仕方なくというところでしょうか。
でもそもそもポータルサイト自体の数が多すぎるのですよね。
載っている物件も多すぎます。
お客様も検索するのも一苦労です。
同じ物件が複数の業者から広告されていたりしますし、ポータルサイト側もそれを前提で
『写真にこだわらないとダメですよ。そうじゃないと反響が取れません。』とか
『コメントにはこだわって下さい。そこで他の業者との差別化が出来ます。』
などとアドバイスしてくれます。
でもお客様の事を考えるなら、同じ物件はひとくくりにして表示すべきですよね。
この物件の取扱い業者は以下の通りです、みたいな。
でもそうすると登録した物件が目立たなくなり、不動産業者が広告宣伝費を落としてくれなくなるので、前述した通りの煽りが入るのです。
掲載されている物件数が多い中で、少しでも多くの反響を多く取ろうと、おとり広告、誇大広告を打つということになるのでしょう。
もし、家主さんが直接広告を打っていたとしたらどうでしょう?
実際よりも安くしてお客様を集めようと思いますか?
間取りを大袈裟に誇張して募集をかけますか?
多分しないですよね?
というより今はどの業界でもほとんど見られなくなってきました。
だってそんな時代じゃないですものね。
結局時代遅れなんです。
ポータルサイトに頼り切っている不動産業者も、そのポータルサイトに掲載するためのネット入力を朝から晩までやっている不動産会社の営業マンも。
今注目の民泊ではホストとゲストは直で繋がっています。
予約から宿泊、支払いまで全てそのサイト上で完結します。
韓国人専門のゲストハウス、中国人専門のゲストハウスなどではそのゲストハウス自身のホームページ上で旅行者とのマッチングをしています。
ポータルサイトになんか頼りません。
またシェアハウスなんかでもホームページメインに集客していますし、人気のあるシェアハウスではいつでも予約待ちという状況であったりします。
これからは家主さんも自らがブログやSNS上で情報発信していき、不動産業者に頼らない集客がメインになってくるかもしれません。
お客様が求めるものが提供出来ていれば集客ということに苦労することはありません。
だってこのブログを見ていただいているお客様はすでに広告宣伝費をかけていないこのブログに辿り着いているのですから。
賃貸業者さんも朝から晩までパソコンの前に座ってストレスを抱えるくらいなら、駅前でビラ配りしたり飛び込みで企業やお店を開拓したりすればいいのにといつも思っています。
賃貸のオーナー様なら不動産業者巡りだけでなく、学校や飲食店を回って自分の物件の紹介をすればいいのにといつも思ってしまいます。
集客方法なんて山ほどありますよ。
お金をかけなくても。
最近ではジモティなどのサイトにも賃貸物件が載っていたり、LINEのタイムラインにも賃貸物件の紹介が載っていたりしますが、こういうことなんですよね。
何でもかんでも掲載するってことではなくて、自分が本当にいい物件だと思っている物件を掲載すれば、コメントにしても写真にしても熱が入ります。
1日に何十件も物件登録するよりも、今日のオススメ物件みたいな感じで紹介してくれる方が探している方とすれば有り難いと思うのですが。
ポータルサイトでこだわり検索してもなかなか物件が絞り込めないのに、お客様が本当にいい物件を何千件の中から見つけ出せるわけがありません。
せっかく見つけたと思ったら、最初の話のようなおとり広告です。
もう頭を抱えるしかないですよね。

不動産業者だけが見れる情報にレインズというものがあります。
ここには自社が直接取り扱っている物件しか掲載できません。
しかも管理会社があればそこからしか物件登録はされていません。
決まった物件はすぐに登録を抹消します。
仕組みとしてはこうした仕組みも実現可能だと思うのです。
でも実現しないのですよね・・
業界自体が次のステップに進むためにも、業界自体が存続していくためにも超変革が必要です。
金本阪神の超変革は思うように進んでいませんが、変革していくためには少々の犠牲も必要ですし我慢が必要です。
部屋探しをしているお客様も、住宅購入を考えているお客様も減少傾向です。
その中でどういった形で集客していくか?
どこの業者さんも頭が痛いのかもしれません。
でも、騙して集客してもそんなビジネス長続きしないですよね。
業者さんもオーナーさんも、自分たちはどういう考えで、どういうコンセプトで経営しているよとお客様にアピールすることが必要ではないでしょうか。
これは成功している業者さん、業績を上げている業者さんに共通して言えることです。
そして、満室経営が出来ているオーナーさんも同様です。
業者さんの数、賃貸物件の数がこれだけ増えれば当然のことですよね。
お客様は選べるのですから。
なので、お客様に選ばれるような取組み方が求められます。
そのためにはやはり日々勉強していくことが大切です。
生涯勉強ですね。
というわけで、これからも死ぬまで知識欲というのはなくならないのでしょうね。