従来の住宅の流れというのは、こういう形でした。
まず、実家から独立して『一人暮らし』をする。
一般的には1Roomからですよね。
次に結婚して2DKや2LDKのファミリータイプに引っ越しする。
そして、夢のマイホームということで『住宅購入』。これが従来のゴールでした。
でも今はこの形が変わりつつあります。
まず、実家暮らしの若者が一人暮らしをしなくなっています。
その理由としてまず実家が広くなったという要因があります。
昔は狭い家に両親、子供たち、おばあちゃんやおじいちゃんなど6人も7人も住んでいましたから自分の部屋もない若者も多かったですし、妹やお兄ちゃんと部屋が共同というのも少なくはありませんでした。
ここに国土交通省が発表しているデータがあります。
『所有関係別一住宅当たり延べ床面積の推移』というデータです。
昭和43年に近畿地方の民間貸家の一住戸あたりのの平米数は34.17平米でした。
それが平成25年では43.93平米になっています。
しかも今みたいな核家族化していない時代ですから、この部屋に4人、5人で住んでいたのですが、いまではこの43.93平米に対して2人、3人が住むという状態に変化しています。
『日本の住宅はウサギ小屋』と海外から比喩された時代は変化しているのです。
昔は、働きだして彼女や彼氏でもできればすぐに一人暮らしをしたものでした。
でも今の時代は、それぞれに自分の個室があり、食事・洗濯が付いている実家からなかなか抜け出せない若者が増えてしまっています。だって実家にいても何不自由なく生活ができるのですからね。
なので、そもそもこの『住宅すごろく』が始まらないケースさえあります。
次に結婚しないという選択肢を持つ若者も増えました。
結婚しなければ住宅を購入する必要もないですし、部屋数が多いところに引っ越しする理由もありません。
最近では、『一人暮らし』から『結婚してファミリータイプの賃貸』さらに『住宅購入』という流れで進んでも、これがゴールにならないケースがあります。
売却して『老人介護施設』や夫婦二人だけになり都心部の住宅から『環境のよい地域で余生を過ごすために転居』という選択です。
以前ならこの『住宅すごろく』に乗っかるのがごくごく自然の流れでした。
なので、不動産業界では賃貸業界も売買業界もお客様で賑わっていました。
それが今では、一人暮らしもしない。
結婚して賃貸に住むのではなく、いきなり購入するケースもありますし、せっかく住宅を購入しても様々な原因で自宅を手放すというケースも多々あります。
『住宅ローンが払えない』
『離婚してしまった』
ということ以外にも
『売却して賃貸に戻る』という選択肢も出てきています。
いずれにせよ不動産業界に流れてきているお客様は減少傾向です。
高齢者社会に突き進んでいる今の日本では、最後に売却して老人介護施設に入るという選択肢はこれからどんどん増えていくでしょう。
その時に売却して施設の入所費用を賄える方はいいでしょうが、売却してもほとんど手元にお金が残らないということになったら一大事です。
なので、これから住宅購入をお考えの方は、出口戦略というものを意識する必要もあるかもしれません。
売却時に高く売れる不動産は『資産』ですが、購入時に住宅ローンの残債を完済できない不動産は『負債』です。
『いずれこの地域の地価は上がるだろう。』
『この南向きの土地は新築の建て替え用地としての需要があるだろう』
など、将来売却するときのことを考えて住宅は購入すべきです。
『子どもの学校区があるので、この地域でしか探したくない。』
『今の仕事場に近いからこの地域で探そう。』
という選択肢なら住宅購入より、賃貸の方がお勧めかもしれません。
学校区というのはいずれ撤廃される可能性もあります。
これは少子化で小学校、中学校の統合などもあり得るわけですし、学校の評判というのは常に変動します。
この学校区は評判がいいから買おうという選択肢は少し危険かもしれません。
仕事場も転勤、転職などで変わってしまうかもしれません。
そういった場合、売却時期のタイミングは『高く売れる時期』ではなく、『引っ越ししなくてはいけないから売却する』というタイミングになります。
不動産を資産としてとらえるなら、売却のタイミングは『高く売れる時期』ということになります。
逆に購入するタイミングも『安く買える時期』と言うことになります。
不動産査定の際に、近隣物件の売り出し状況の話をよくお客様にします。
不動産価格というのは『需要と供給のバランス』によって決まります。
供給が多い時期に売却するのはあまり得策ではありません。
競合物件があれば比較対象にされてしまいますし、『売り急ぎ』の物件がその中に紛れていれば価格を左右されてしまいます。
逆に同時期に比較対象になる物件がなければ相場以上の価格で売却することは可能になります。
その地域で物件を欲しい方っていつの時代にもいらっしゃいますので。
売却に有利な地域、場所というのももちろん存在します。
周りに広大な敷地が空地であったとしたら、そこに大規模の分譲地や大規模のマンションが建築されるかもしれません。
その金額がもし安い金額で売りに出されたら、近隣の中古市場は一気に下がってしまいます。
逆に商業地域などでこれ以上物件が建ちにくい地域というならどうでしょう。
自然に中古市場は活発になります。
なので、少し高くても人気のある地域、少し高くても評判の良いマンションなどを購入するのは出口戦略として有効です。
ただ、高値で買ってしまってはダメですから、きちんとした相場感は大切です。
株式投資で自分で運用するときに3,000万円で運用しようとしたときに、何の勉強もせず、誰の助けも受けずに始める方はいないですよね。
しっかりとした勉強をして学んでからか、しっかりとしたプロに運用を任せませんか?
不動産も高額の買い物なのに、自分で勉強せずにいきなり購入するかたが多いと思います。
だから失敗する方が多いのかもしれません。
なので、住宅購入、不動産投資をお考えの方はぜひ一度ご相談ください。
少しはお役に立てると思いますので。
それではご相談お待ちしております。