賃貸経営を考える時に自分が所有している不動産がどのターゲットに向いているのかを考える必要があります。
転勤族をターゲットにするのか、新婚世帯をターゲットにするのか、学生さんをターゲットにするのか、社会人をターゲットにするのか、それとも生活保護者をターゲットにするのかということです。
もちろん転勤族を狙い法人契約を狙うのが家賃が遅れることもありませんし、入居者の質的にも上質なお客様を取り込める可能性があります。
でも今の時代、経費削減の世の中ですから引越しが伴う転勤もそう多くはありません。
学生さんをターゲットにするにしても、地方から大学入学のために上京してくる方も少なくなりました。
また大学自体もそうした学生さんのために部屋を提供するようになっています。
学生さんをターゲットにするリスクはもう一つあります。
移転の問題です。
大学の近くの単身用物件を所有する場合、大学自体が移転してしまえばもう目も当てれません。
家賃は大幅に下落し、売却するにも売却出来ない可能性すら生じます。
新婚さんをターゲットにすればどうでしょう?
いつの時代も新婚世帯はなくなりません。
でも以前大阪市にあった新婚世帯家賃補助制度は廃止になりました。
これにより家賃相場は下落しました。
以前なら家賃補助があったため、8万円、9万円といった家賃のお部屋でも若い新婚世帯が入居してくれましたが、今ではなかなかそこまで家賃が出せるお客様は少なくなっています。
しかも上質なお客様は何年か居住した後、住宅購入などで転居してしまいます。
生活保護者をターゲットにしたマンションも一時期増えました。
これは貧困ビジネスというテーマでメディアにも多く取り上げられました。
それが元でいろいろな問題が取り沙汰され、生活保護者の住宅扶助が見直されました。
今大阪市の単身世帯では、一人世帯では月額40,000円、二人世帯では48,000円、3人から5人世帯では52,000円に見直されています。

また単身世帯の場合、平米数でも家賃の上限は規制されており15平米以下では住宅扶助の金額はさらに引下げになっています。
収益一棟もののマンションの購入を検討する場合はレントロール(家賃表)を元に試算します。
古い契約者が残っていて生活保護者が入居している場合、この上限額より高い賃料で入居していることがあります。
その辺りをきちんと考慮して購入しないと、予定通りのキャッシュフローが得れないことが起こり得ます。
業者の中には架空の賃貸契約を作成して、家賃収入を高く見せるようなことをする業者さんもいるので注意が必要です。
上の家賃表を見ながら家賃を引き直して、それでもキャッシュフローが回るのなら問題ないでしょうが。
生活保護者が入居した場合、比較的長期間にわたり入居してもらえる可能性があります。
でも、受給者はいろいろな事情で生活保護を受けていますので、その内容にも注意が必要です。
昼間から仕事が出来ずに自宅にいるケースも多々ありますので、他の入居者との生活リズムが違ったりします。
少しの物音で苦情が入ったり、住民とのトラブルを起こすケースも少なくはありません。
ならばどういった層を取り込めばいいのでしょうか?

潜在的なお客様としては、実家暮らしの若者たちがいます。
引越ししない理由としては、実家暮らしが快適なので引越しする理由がない。
お金がないので引越しが出来ないということでしょう。
賃貸マンション一つ借りるのにどれくらいの費用がかかるのでしょう?
例えば家賃6万円、礼金10万円のお部屋を借りた場合でシュミレーションしてみます。
まず礼金
100,000円
前家賃
60,000円
仲介手数料(一般的な仲介手数料、家賃の半月分の場合)
32,400円
保証会社保証料(家賃総額の30%〜50%程度必要)
18,000円
火災保険料(単身用、2年間)
15,000円
これが最低限必要な費用です。
あと、管理会社によって変わりますが、鍵交換代15,000円などや、ハウスクリーニング費用21,600円などが必要な場合もあります。
なのでお部屋を借りる費用だけで20万円〜25万円。
その他に引越し費用や家具、家電などを揃える費用も必要になります。
ワンルーム、1Kで冷蔵庫、洗濯機、電子レンジ、テレビ、ベッド、カーテン、布団やシーツ、調理器具などを揃えると安く見繕っても20万円〜30万円は必要です。
これらを合計すると50万円程度は必要になるのですが、ここまで出してまで一人暮らしをしたいという若者が減ってきています。
その辺りの層を取り込めれば賃貸需要というものもまだまだ出てきそうです。
でも、そのためには貸主と借主が直接取引できるようにならないと難しいかもしれません。
不動産会社を介することにより、貸主、借主双方が仲介手数料も必要になります。
直接取引になれば不動産会社さんに支払う手数料分で家具や家電をサービスとしてつけてあげることも可能になります。
昔は物件の前に広告看板や貼り紙をつけているだけで問合せがありましたが、今はそんな時代ではありません。
オーナー様自信がブログやSNSで情報発信していけるようになれば状況は変化していくかもしれません。
今までは不動産会社頼りの部屋付け、入居者探しでした。
でも本来の形、ビジネスの形とすればどうなのでしょう?
流通の形というものは変化しています。
農業でも農協を介さず、直接エンドユーザーに卸す業態や、衣料の世界でも卸問屋が直接エンドユーザーに販売する形態に変化しています。
デフレの中では市場の中で介入者が増えれば増えるほど、モノが売れなくなります。
不動産でも同じかもしれません。
より安く、より流通させるためには不動産会社が必要なくなってきているのかもしれません。
もちろん今すぐそういう流れになることはありませんけど。
でも、直接エンドユーザーを探すルートというか、流通網を模索する必要はあると思います。
家具家電、生活用品が揃っていて、尚且つ初期費用が安い。
レオパレスなどはそういう手法ですが、一般物件に比べ毎月の家賃が少し高額になっています。
それでも転勤者や長期出張者などの利用で都心部では高稼働しています。
それは、きちんとユーザーの需要を取り込んでいるということです。
これからの賃貸経営にはそういったマネージメントが必要です。
任せっきりの経営では成り立たなくなります。
ビジネスとして参入するならやはりきちんと勉強すべきです。
不動産投資が片手間で儲かるほど時代は甘くありません。
でも、きちんと勉強して需要とのマッチングが出来れば満室経営というものは難しいものではありません。
なので老後の安定を求めて不動産投資を始めようとしている皆さま、まだ時間はたくさんありますので一緒に勉強しましょうね。

話は戻りますが、生活保護者の数も増え続けています。
これからますます増加することも予測されます。
前述した通りの金額を視野に入れていれば、家賃の下落を食い止めることも可能になります。
最近では生活保護を受給するためには、まず部屋を借りないといけないというケースがほとんどになっています。
でも、生活保護を受給するための相談に行っているくらいですから、契約する費用、家財道具を揃える費用もなかったりします。
そう考えれば、賃料、初期費用さえ合わせることが出来れば、この層の取り込みは難しいことではありません。
つまり、最低限の家賃収入としてこのラインを想定することは可能です。
家賃収入のセーフティネットみたいなものですね。
でもこの客層ありきの賃貸経営はオススメしません。
やはり魅力ある部屋作りをしてこそオーナー業ですよ。
多くの部屋から自らの部屋が選ばれるような部屋作り、これを目指しましょう!

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