空き家率は平成25年のデータで全国で13.5%でした。


この統計は五年毎に発表されるので、次回の発表は平成31年になります。

3年後ですね。

この時どういうデータが出てくるのか?
またその統計を見て不動産市況がどう動いていくのか?
とても気になるところです。

ところでこの空き家率の13.5%という中には倒壊寸前の建物から、相続等で放ったらかしになっている建物、販売用の建物、そして賃貸住宅が含まれています。

賃貸住宅の中にも、区分所有建物から戸建、文化住宅などの長屋住宅、マンションやアパートなどの賃貸住宅まで様々なものが含まれています。

私たちが気になるのは賃貸用物件の空き家率です。

その中でも文化住宅のような老朽化したものではなく、まだまだ使用できる賃貸住宅の空き家率です。

募集中物件の空き家率がいったいどうなっているのか?
過去と比べてどのように推移しているのか?
これが一番気になるところです。
ただこうしたデータが欲しいところは購入者側だけであり、販売側にとっては不利益になるデータでしかないので集計しようという動きさえ出てこないでしょう。

困ったものですよね。

でも実際大家さんたちとお話ししていると、(といっても交流会や懇親会に参加してくる大家さんたちなので情報収集能力にも長けていますし、いろいろなノウハウをお持ちの大家さんたちです。)空室に困っていないという声がほとんどです。

いろいろなセミナーでお会いする賃貸の管理会社の人たちも同じくです。

これからの時代、こうした空室に困っていないオーナーさん、管理会社さんと、どうにもこうにも打つ手がないというオーナーさん、管理会社に分かれてきそうです。

満室経営をしている大家さんは、例えば入居者さんから
『○○が故障しているみたいなんですけど・・』
と連絡が入れば
『工事業者をすぐ行かせて交換しますので安心してください。』
と返答し
空室で困っている大家さんは
『空室も多いし、少しでも安く済ませたいので修理で何とか誤魔化せないかな。しばらく放っておいたら収まるんじゃないのかな?』
と対応が遅くなります。

入居者さんからすると、迅速に動いてくれれば故障で困っていたとしても
『すぐ直してくれていい大家さんだな。』
となり、修理に時間がかかると
『ここの大家はいつも何かあっても動いてくれない。そのくせ少し家賃の入金が遅れたら催促の電話ばかり・・』
こう思われてしまえば、もういつ入居者が退去してもおかしくはありません。
まさに負の連鎖ですね。

空室が増えてくると家賃収入も少なくなります。
そうなるとリフォームにお金をかけることにもためらいます。
満室経営を繰り返していると毎年の税金の支払いも大変なので、定期的に大規模なリフォームをしたり、リノベーションしたりしてうまく経費を使います。
またそうすることにより資産性も向上し、建物の価値も上昇します。
好循環していくわけですね。

以前お付き合いのあったオーナーさまで、
『空室はあるけどリフォームまだしていない。リフォームは入居者が決まったらしようかな?』
と言っていたオーナーさんがいました。

でもDIYという言葉などほとんど聞くことがなかった時代の話なので、そんな状態で申込みが入ることなどありません。
1部屋の空きが2部屋になり、3部屋になり・・

結局その物件を売却する羽目になりました。

新しく購入したオーナーさまは空室を埋めるためにすぐにリフォームに取り掛かり満室になりました。

知恵と資金があれば部屋などいくらでも満室にできます。
でも空室で頭を抱えているオーナーさんの多くはリフォームの資金がない。
お金をかけたくない。
入居が決まったお部屋の修理にもお金を出したくない。

このタイプのオーナーさまが多いのです。


25年、30年経っても外壁塗装やエントランスの手直しはしない。
エレベーターさえも故障がち。
こんな賃貸住宅には誰も入居しません。

オーナーになった時点でもうプロでなければなりません。
自分がプロになれないのであれば、プロの管理会社に任せなければなりません。
そこでも管理料が少しでも安い会社、リフォーム費用が少しでも安い内装工事業者を探したりします。
もちろん費用を少しでも軽くするのは経営者にとっては当たり前のことですからそこは大事です。
でも不動産会社、内装工事業者の中には
『安かろう悪かろう』
の業者が多く存在します。

安くてもいい仕事をしてくれる会社をパートナーにつけることができれば安心なのですが、なかなか見つけるのに一苦労します。

どんな商売でも最初から全て上手くいくわけではないですから、手探りでも自分でいろいろ仕掛けていくことは大切ですね。

今の時代は、昔のやり方でも何とか通用しているオーナーさんもいますし、昔のやり方でも立地だけで満室近くになることもあります。

でもこれからはそんなに甘くはありません。

空室になるお部屋は空室になるべくしてなり、満室になるお部屋は他のお部屋との差別化が必須になってきます。
家賃と立地、間取りが条件に合っているなら借りようではなく、この家賃でこの部屋なら借りたいでなければ満室にならないでしょう。

賃貸を借りる人口は減少しているのです。

昭和と平成の狭間に建てられた3点ユニットのワンルームのお部屋、今どれだけ苦戦しているかご存知ですか?
15平米前後のお部屋がどれだけ空室を抱えているかご存知ですか?

もうこの手のお部屋に住みたいと思って引越してくるお客様は皆無です。
『家賃が安いから。』
これだけの理由でしか決まらなくなっています。

一時期この手のタイプのお部屋に生活保護者をまとめて押し込むような貧困ビジネスが流行りました。

その時は生活保護の住宅扶助が単身者で4.2万円支給されていましたから、部屋数が多いマンションなんかでは一気に潤いました。

でも住宅扶助の見直しにより、そのバブルも弾けました。


そりゃそうですよね。
どんな商品でも価格に見合っていない商品は売れません。

ビジネスの基本です。
対価に見合ったものを提供していれば売れないものはありません。

でも今後需要と供給のバランスが崩れてくる可能性が大いに出てきます。

その時にどうした手を打っていくかということですよね。

昔は
『外国人お断り。』
『水商売お断り。』
『高齢者お断り。』
こうしたオーナーさんがほとんどでしたが、職業的差別、人種差別をしていてはオーナー業としてやっていけなくはなります。

今24時間営業の飲食店では多くの外国人が働いています。

高齢者の一人暮らしの人の数も今後増え続けます。

需要はここにしかないのです。

じゃあ辞めとこう。
こう判断する方を否定しません。

でも昔はリスクヘッジできなかった孤独死や家賃滞納は今の時代全て保証会社の加入でカバーできます。

時代の流れとともに賃貸住宅に付随するサービスも多様化しているのです。

また今まさに議論されている民泊新法も空室対策の打開策として期待されます。

民泊新法については、また別の機会に詳しく説明いたしますが、東京都大田区や大阪府、大阪市で施行されている特区民泊の条例とはまた別個のものです。

特区民泊のように用途地域やその他の規約に規制されず、届出だけで民泊営業が可能になるというものです。

年間の最大営業日数が180日以内になるというような規制はかかりそうですが、誰でもどこでも民泊営業が可能になる法規制が誕生するかもしれません。

大家さんになるためには、大家さんとして成功するには、将来の収入として期待するにはいろいろな方面の勉強をしていくことが大切です。

でもどんな世界でも予備知識を持って戦うものが強いのです。
戦場に裸で出向きませんよね?
グローブを持たずに野球の試合に行きませんよね?
不動産に対しての予備知識がないのに不動産を購入してはいけません。

せめていろいろな本を読みあさり、いろんなセミナーで話を聞いてみてください。

でも残念ながらその中に書いてあること、セミナーで聞くこと、全てが真実ではありません。

そこを見極めるためにもいろいろな人のお話を聞くべきです。

自分にあった方法を指南してくれる方が一人くらいは見つかるでしょう。

見つかるまでは焦って購入せず、まずパートナーを見つける作業をしてみてください。

失敗しないコツは、騙されない知識ですよ。(笑)