事務所移転してから何かずっとバタバタしています。
ありがたい話です。
お客様から電話がありご相談のご予約や、ご案内のご予約をいただきます。
ご予約をいただくとスケジュール帳に書き込むのですが、
『この日大丈夫ですよ。どの時間帯でも今なら合わせれます。』
といつもの調子で手帳に書き込みます。
ふと気がつくと
『あれ?来週ずっと予定が入ってるや。』
そういえば先週も忙しかったよなと手帳を見返すと何かずっとちょこまかちょこまかと予定が入ってました。
『そういえば最近休んでないよなー。』
こんな感じがしばらく続いています。
『でもこないだ旅行に行ってゆっくりできたからなー。』
と手帳を見返すともう2ヶ月も前の話です。
その間にゆっくり休んだ日は家族でバーベキューに行った1日だけでした。
『あれ?のんびりとした時間を過ごすために始めた会社がいつの間にか前よりも忙しくなってるぞ』
不思議な感覚に陥っています。
でも大変ありがたい話です。
忙しいといっても他の不動産会社さんの忙しさとは少し違うような気がします。
最近の不動産仲介の会社では集客のためにポータルサイトへ一心不乱に物件入力をします。
営業マン自らが物件入力する会社さんでは、朝から晩までひたすらパソコンの前で入力作業をしていることがあります。
そこまでしないと他社に集客で勝てないので社員総出で物件入力をしたりしているのですが、はたしてこれでいいのでしょうか?
いいわけがありませんよね。
物件はナマモノです。
放ったらかしにしていると腐ってしまいます。
これはどういうことかというと、換気や水回りのチェック、玄関周りや物件周辺のチェックが常に必要ということです。
お客様を案内した時に排水管から嫌な匂いがすることがあります。
今みたいな真夏の日には玄関ドアを開けた瞬間にもわっーとした暖かい空気が流れてきます。
本来なら案内前にキチンとチェックしておくべきことなのですよね。
昔は不動産屋は足で稼げと言われました。
どういうことかと言うと、自分の足で駆けずり回って物件を集めろということです。
現場を歩いて回ったり、ついでにチラシをポスティングしたり。
業者さんを回って物件情報をもらいに行ったり。
今ではそういう動きをする不動産業者さんは見かけなくなりました。
社内での雑務が多すぎるのですよね。
これでは物件の良し悪しを判断することも新しい物件情報の収集もままなりません。
せめて案内が決まってる物件の下見くらいはする営業マンでないと、お客様にベストなアドバイスをすることさえ出来ません。
私は今でも物件の提案をする際には事前に物件を見るようにはしています。
もちろんお客様のご要望で初めてご紹介する物件もあったりしますので、その場合は別ですが。
忙しくなるとこうした動きができなくなるのですよね。
これがストレスです。
知らない物件、見たことのない物件を提案していると恥ずかしくなります。
『あれ?何か違うぞ。』
こういう時は仕切り直しをしてもらうようにしています。
『少しお時間下さい。今ご提案できるオススメな物件が思いつかないので、改めてご提案させていただきます。』
この言葉を聞いた時には
『あれ?何か適当に扱われたな。』
と思わないでください。(笑)
『今日話をした内容でキチンとした提案を改めてしてくれるんだ。』
と期待してお待ちください。
賃貸のお部屋を探してる場合は急を要する場合もございますから別ですが、購入する場合は焦って今すぐ購入する必要はありません。
その日に適当な物件を見に行くくらいなら、仕切り直してお客様の要望に合う物件を見に行く方が、いい買い物をできる確率が上がります。
『せっかく今日は休みだから物件を何でもいいから見たかった。』
と言われるお客様もおられます。
でもせっかくの休みに適当な物件を見に行くくらいなら、奥さまやお子さまと美味しいご飯でも食べに行ってください。
その間にご提案物件を吟味させていただきます。
でもやはり下見にも行っておきたいですから、できれば再来店していただくのは翌週の方がいいですけどね。

昔先輩というか、店長に言われた一言ががあります。
『この物件がいいと思うのです。』
とご来店いただいたお客様にそのまま貸したり、そのまま売却するのは
『パン屋さんの店員さんと同じだよ。』
と。
『営業っていうのは、お客様の潜在的要望を組み取って提案するのが営業だ。』
と。
昔賃貸の営業をしていた頃に3LDKを借りに来たお客様に1Roomのお部屋を借りていただいたことがあります。
家賃5万円の予算で部屋探しをしに来たお客様に2万円の風呂なしアパートを借りていただいたことがあります。
少し横暴な話のようにも聞こえますが、お客様のニーズを感じ取り提案していくことがこの営業の仕事の醍醐味なのですよね。
最近ではこれをコンサルティングと呼んでいます。
お客様にどんどん提案していく。
より良いアドバイスができるように、お客様のことを細かくお聞きする必要があります。
お客様のことだけをどんどん聞き出すだけでは不公平です。
なので、私は個人的な情報もFacebookやTwitterで公開しています。
不動産の営業マンはお客様のお仕事内容、勤務先、家族構成、そして年収まで知り得てしまいます。
それなのに聞く側の立場の人間はプライベートの携帯電話の番号すら教えない。
これで何をさらけ出せというのでしょう。
不動産会社の営業マンにはプライバシーなどありません。
飲みに行っていてもお客様からの電話一つで素に戻ります。
飲み屋さんでもどこでお客様が見ているか分からないのでハメを外しません。
たまに楽しすぎて少し忘れることもありますが。(笑)

その覚悟があるのなら不動産業に入ることをお勧めします。
だってこんなに楽しい仕事はないですよ。
お客様の人生を左右するお手伝いができる仕事です。
なのでこれから不動産会社に就職しようと思っている方がいるならその覚悟を持って入社してください。
そういう方が増えればこの業界ももっともっと良くなっていくでしょう。
『不動産会社に勤めているんだ。』
『へぇー。すごいねー。大変なお仕事だね。』
と言われるような業界になれればいいなといつも思っています。
いつかそういう時代が来ますように。