本日は、固定資産税のお話。

特区民泊の施行が10/31からに決まった大阪市をベースにお話ししたいと思います。

固定資産税は都市計画税とともに、1月1日現在の不動産所有者にかけられる税金です。

その税率は大阪市長が決めた課税標準額に対して、1.4%。都市計画税は0.3%課せられます。

この課税標準額には特例が設けられており、住宅用地に対しては原則として課税標準額を1/3(都市計画税は2/3)に軽減した税率が課されており、さらに200平米までの部分に関しては1/6(都市計画税は1/3)まで軽減されています。

住宅


この住宅用地というのは『人の居住を目的としている建物に使用している土地』というものになり、店舗・工場・事務所・旅館・倉庫などは含まれません。

賃貸住宅は人の居住を目的としてますので、住宅用地に該当します

今回の特区民泊の中では、この民泊というものは『人の居住を目的しているもの』ではないとなっています。

居住ではなく、宿泊なので旅館業と同じ扱いになりますよということです。

ここで問題になるのが、住宅用地として認められなければ住宅用地に対しての固定資産税の特例が受けれなくなるというところです。

賃貸マンションの一室で許可されれば、一棟丸ごとこの特例がなくなるの??

いや。そうではないのです。

ただ、従前のような特例が認められるわけではないので注意が必要です。


居住割合

居住部分の割合によって受けれる軽減の割合が変わるということです。

この店舗等と併用している場合の軽減措置は以下の通りです。

【住宅用地の面積】 = 家屋の敷地面積 × 住宅用地の率


住宅用地の率というのは、店舗等の面積割合によって決められます。

(階数、居住部分の割合、住宅用地の率の順)

地上4階建以下   1/4以上1/2未満      1/2
地上4階建以下   1/2以上           1
地上5階建以上   1/4以上1/2未満      1/2
地上5階建以上   1/2以上3/4未満      3/4
地上5階建以上   3/4以上           1

一つ例題として、

土地面積300平米。課税標準額3,000万円。1階(120平米)、2階(120平米)、3階(120平米)が従前は居住用。
今回1階・2階の居住用部分を店舗(旅館業)に変更したとして考えていきます。

変更後の以前のままだったら、200平米までの部分は1/6(都市計画税1/3)、200平米超300平米までの部分は1/3(都市計画税2/3)でしたが、今回2/3部分が店舗に変更することになります。

2/3が居住用部分のままなので、住宅用地の率は0.5ということになります。

家屋の敷地面積300平米×0.5=150平米。住宅用地は150平米、商業用地は150平米です。

150平米部分を小規模住宅用地として、それ以外の部分を特例の適用されない用地として計算します。

課税標準額3,000万円で土地面積300平米ですから、1平米あたり10万円。

課税標準額=(150平米×10万円)×1/6+150平米×10万円=1,750万円

固定資産税額=1,750万円×1.4%=24.5万円

都市計画税課税標準額=(150平米×10万円)×1/3+150平米×10万円=2,000万円
 
都市計画税額2,000万円×0.3%=6万円

今回のケースでは、固定資産税、都市計画税として年額30.5万円が必要になるということですね。

もし、そのまま店舗にしないで居住用のままとして置いておいた場合も計算してみます。

200平米×10万円×1/6+100平米×10万円×1/3=666.6万円

666.6万円×1.4%=9.33万円(固定資産税額)

200平米×10万円×1/3+100平米×10万円×2/3=1333.3万円

1333.3万円×0.3%=4万円(都市計画税額)

合計13.33万円だったことになります。

つまり、年額で17.17万円費用負担が増えるということになりますよね。


おさらいしますと、
4階建以下の建物の場合、居住部分が1/2を超えていれば従来通り固定資産税の軽減が受けることができ、1/2以下でも1/4以上が居住部分なら1/2は軽減を受けれるということです。

5階建以上の建物の場合は、3/4を超える面積が居住用なら従来通り、1/2未満1/4以上なら1/2の軽減を、3/4未満1/2以上なら3/4の軽減を受けることができます。

なので、もともと店舗・事務所が併設されている建物に関しては、4階建以下なら1/2超が居住用部分、5階建て以上なら3/4超がそのまま住宅用地としての恩恵を受ける面積の基準となります。

この面積を超えても、5階建以上なら1/4以上を店舗の用に供さないようにすればいいということですね。

もちろんこの特例以上に収益性がUPすれば問題ないことですので、このあたりとのバランスを見ながらということにはなってくるのではないでしょうか。

マンションの場合は上記の通りですが、では一戸建の場合はどうなるのでしょうか?

この場合、今回の特区民泊申請にはシェアハウスは含まれておりませんので、申請するということは一戸まるまるの申請になります。

その場合は、住宅用地としての特例の適用はありませんので、200平米以下の部分の固定資産税は6倍、都市計画税は3倍になります。

今日の話をまとめますと、もともとマンション内に店舗・事務所があるマンションなら、もちろん比率にはよりますが固定資産税、都市計画税に変更はないということになりそうです。

居住用オンリーのマンションだった場合、毎年の固定資産税、都市計画税が増える恐れもありますのでご注意ください。

こういうものを見るとついつい計算したくなります。

もし、間違えを見つけたらこっそりと教えてくださいね。

恥をかく前に(笑)

私は税理士ではありませんので、あくまで参考にという記事ですので多少の間違いはご了承ください。

それでは。