去年、スルガ銀行の不適切融資が問題になりました。
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売買金額や自己資金の水増し、サブリースを使った、あたかも安定した収益が上がるかに見せかけたレントロールを利用した不適切融資。
レオパレスの手抜き工事もありましたよね。
天井に施工上あるべきはずの界壁が、なかったという問題です。
そして年末のアパマンショップの消毒不施工問題。
これは施工、不施工だけの問題ではなく、原価1,000円ほどの消毒液に対して、施工代込みではあるが、1.5万円〜3万円程度入居者から半強制的に徴収していたという問題も明るみに出ました。

こういった問題はいつからあったのか?
最近突然起こった出来事かというと、そうではありません。
スルガ銀行だけに限らず、金融機関に対して預金口座の改ざん、売買金額の書上げなどはもう20数年前から行われていました。
レオパレスの手抜き工事問題も、手抜きがどうかは別にしてチープな建築物との認識は不動産業界の誰もが従前から感じていた話です。

アパマンショップの消毒代の話、これはアパマンショップだけでなく、ほとんどの賃貸仲介の会社で行われていました。
良識ある賃貸業者は、もう数年前からそのような付帯工事を徴収したりはしてなかったはずですが。。
私が以前(といっても20年以上前)働いていた賃貸仲介会社でも『消毒代』と言われる入居前の付帯工事を徴収していました。
料金は2万円だったり3万円でした。
完全歩合で働いていた会社でしたから、その1/3ほどが営業マンの手取りになります。
でも、実際に施工されていたのはほんの一部。
報道にあったように未施工のまま、鍵を引き渡していたこともありました。
アパマンショップだけの問題ではないんですよね。
賃貸のお部屋を借りる際に、入居時かかる費用としては、
①礼金、敷金
②家賃(前払い)
③仲介手数料
これだけで入居できると思っているお客様が多数いらっしゃいます。
本来ならこれだけでいいはずなのです。
オーナーに入るのはそもそもそれだけですから。
でも実際にお部屋を借りる際には、その他に
④火災保険料
⑤保証会社の保証料
⑥鍵交換代
⑦ハウスクリーニング費用や消毒費用
などが見積もりにかかれていることが多くなっています。
火災保険は水漏れ事故や盗難事故に備えるために加入しておいた方がいい費用ではありますが、管理会社が勧めてくる火災保険は不必要な保障内容が担保されており若干高めに設定されています。
保証会社の保証料は、礼金なしや敷金なしで入居する際に家賃滞納に備えるため、加入がほぼ強制されています。
ここまでは理解できるのですが、鍵交換代やハウスクリーニング費用などは、本来家主負担で行うべき費用です。
ここまで強制的に加入を求めてくるのは、管理会社として今は一般的になっています。
そこに加えて消毒費用。。。

もう誰のために徴収しているのか。。。
不動産会社の利益のためにオーナー(家主)さんは、部屋を提供しているわけです。
うちは、個人で所有している物件も、会社で保有している物件も、鍵交換代やハウスクリーニング費用を徴収していません。
※管理している物件は、火災保険料、保証会社保証料、鍵交換代については入居者にご負担いただいています。

消毒代はもちろん徴収していませんし、営業マン時代にもお客様からいただいた記憶がありません。
自分を美化するつもりはありませんが、賃貸営業していた時から、自分が納得いかない費用は取りたくないという考え方があったからです。
でもこういった無駄な費用が今回の事故により露呈しました。
これをきっかけに、賃貸の部屋探しからオーナー、入居者にとって無益な費用がなくなればいいのに。
そうなることによって、入居者の負担が少しでも軽減され、賃貸住宅の入居促進につながっていけばいいのにと願っています。

不適切融資に関しても同じです。
買えないお客様に買わせるために貯蓄残高の改ざん、売買代金の書上げが行われています。
そのせいで、投資用不動産の価格が上昇し、多くの赤字大家さんが登場しました。
賃貸経営すべきではない人たちが、たくさん大家さんになりました。
賃貸住宅を所有することは、会社を経営することと同じです。
しっかりとした目的を持って、しっかりとした経営指針を立てなければいけません。
収入の向上、経費の削減。
会社を経営していれば当然の話です。
でも多くの賃貸オーナーさん、特に不適切融資でオーナーになった方々は、その収入向上、経費管理さえも不動産会社に委託します。
営業、経理などの業務の全てを外注して生き残れる会社って想像できますか?
何かを作りあげるメーカーさん?
職人さん?
どこの店でも簡単に手に入る商品を作っている会社が、競争社会で生き残れますか?
無理ですよね?
賃貸住宅経営、特に一棟アパート、マンションになれば、融資利用は必須です。
価格ボリュームが大きくなりますからね。
そこで問題になるのは、自己資金をいかに少なく購入するかではなく、いかに安い金利で資金調達できるかです。
1億円の借入で、金利4%と1%では年間3%の金利差が生まれます。
利息だけで年間300万円変わってくるわけです。
今一棟アパートの表面利回りは新築で7%前後です。(大阪の場合)
年間700万円の収入に対して、利息が300万円変わってくるのですから、死活問題です。
つまり、金利3%、4%でしか資金調達できないお客様は絶対に購入すべきではないということがお分かりでしょうか?

こんな話をセミナーや、個別相談で毎回お話しています。
買うべきではない人に売ってはいけない。
これは自宅でも同じです。
無理した住宅ローンで自宅を購入してはいけません。
ごくごく当たり前の話です。
でも、それが分かっていない営業マンが多すぎるのが、今の不動産業界です。
その認識を改め、お客様を正しい道へ誘導できる業界に変換しないと今後私たちの業界はどうなるのか?
それが不安でたまりません。

なので、少しづつ業界を浄化させていきたいなと思い密かに活動中です。

微力ですが、不動産で失敗する人を少しでも減らしたい。
もっともっと安心して不動産購入、賃貸をできる業界にして、流通を活性化させていきたいと考えています。

その中で、いろいろ考えるんですよね。
不動産仲間といろいろ話をしたり。
でも、抜本的に改革するには、他業種の人たちの意見を取り入れることが必要だと強く感じました。
他業種の人たちから見ると、不動産業界はとても不思議でおかしな世界に映っています。
そんな人の意見をたくさん聞きながら、今年は少しづつではありますが、具現化していきたいと思っています。
昨年から始めたL-styleClubをさらに進化させ、より深い不動産知識を得る場に。
大阪在住以外の人たちにも、学べる環境作りを整備しています。
今年のRE/MAX L-styleには期待してください。

やりますよー。

年始の所信表明代わりにブログ記事書いてみました。
今年もみなさま、よろしくお願いします