昨日こんな土地を見つけました。
更地になっています。
場所は新大阪にもほど近い悪くない立地です。
3階建てのアパートでも建築すれば需要があるのではと思ったりして見ていたのですが。
前面道路の幅員が4mない場合セットバックしなければいけないって聞いたことがないですか?
前面道路が建築基準法上の道路として認定されていなければセットバックの必要がないのですが、角地で面している道路が両方とも道路認定されていると悲劇が起こります。
上の図面を見てください。
前面道路の道路中心線から2m後退が再建築されるときには義務付けられます。
つまりこの場合、角地なので両方の道路中心線から2m後退しなければなりません。
前面道路幅は奥行きが狭い方が2m、間口の広い方も2.5mほどです。
元々が奥行きは4mほど。間口は10mほどの狭い土地です。
そこからさらに奥行き側が1m、間口側が75cmセットバックしなければいけません。
つまり、1m×4m=4平米、0.75m×10m=7.5平米。合計11.5平米分のセットバックが必要です。
元々の面積が40平米とすれば残りの面積は28.5平米ということになってしまいます。
ここは第一種住居地域で容積率300%、建蔽率80%の地域です。
通常であれば、住居系の地域なので前面道路幅×0.4で容積率は計算されます。
ただ、大阪市の場合は第一種住居地域、第二種住居地域及び準住居地域(ただし、風致地区は除く)においては、前面道路幅員による容積率低減数値は0.6としています。
また、前面道路幅4m未満の場合でもセットバックが必要な場合は、中心後退後は4mの道路幅員と見做して計算できますので、前面道路幅考慮後の最大容積率は4m×0.6=240%となります。
これはまだましなケースです。
これが第一種住居地域、第二種住居地域及び準住居地域でなければ4m×0.4=160%まで下がってしまうところです。
今回の場合でも最大建蔽率は28.5平米×80%=22.8平米となりますので、とてもアパートを建築できる面積ではありません。
街中を自転車で走っているとたまにこんな土地を見かけます。
建物も古いし使いようがないから取り壊してしまえ。
なんて安易に取り壊してしまうと、固定資産税は高くなりますし、新しい建物も建築しにくかったり、売るに売れなくなったりすることもあるのですよね。
「更地にした方が売りやすいよね?」
というご質問をいただくことが多いのですが、ケースバイケースです。
古くてもリフォーム、改築することによって再利用できる場合がございます。
2016年4月、つまり今年の4月の税制改革により、相続した空き家を売却した場合の所得税の軽減措置が新しく創設されました。
「空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例」と呼ばれます。
居住用財産を処分した時にはいわゆる3000万円特別控除というものがあります。
これを相続した空き家でも適用してあげましょうという制度で、相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日までに、被相続人の居住の用に供していた家屋を相続した相続人が、当該家屋(耐震性のない場合は耐震リフォームをしたものに限り、その敷地を含む)又は取壊し後の土地を譲渡した場合には、当該家屋又は土地の譲渡所得から3,000万円を特別控除するというものです。
この制度を利用するにはいくつかの要件があります。
1)相続日から起算して3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ、特例の適用期間である平成28年4月1日から平成31年12月31日までに譲渡すること
2)相続の開始の直前において被相続人の居住の用に供されていたものであること
3)相続の開始の直前において当該被相続人以外に居住をしていた者がいなかったものであること
4)昭和56年5月31日以前に建築された家屋(区分所有建築物を除く)であること
5)相続の時から譲渡の時まで事業の用、貸付けの用又は居住の用に供されていたことがないこと
要約すると、亡くなった方が居住した物件を3年以内に売却。
※厳密にいうと3年以内ではありませんが・・・
新耐震基準以前の建物を耐震リフォームするか、更地にして売却。
その間に他人に貸したりしていなかった建物。
ということですね。
耐震リフォームして売却というのはあまり理にかなっていないので、更地にして売却するケースが一般的でしょう。
でも安易に更地に売却してしまって、その土地が再建築不可の土地であったり、再建築はできるがまともな土地が建たない土地であったりすると売却に困難を極めます。
「あっ、こんな制度があるんだ。利用しないと損だから急いで解体しなきゃ。」
なんて焦って解体工事を進めてしまうと大変なことになってしまいます。
そうなる前にくれぐれも専門家にご相談くださいね。
極端な話、買い手が決まった時点から解体工事に入ってもいいわけです。
でもここでも注意点が。
買い手さんが解体しなければ当然この制度は利用できません。
あくまで、解体して売却したという経緯が必要ですよね。
ちなみに解体して、売れるまでの間コインパーキングに利用して有効活用みたいなケースでもこの制度は適用になりませんのでご注意を。
不動産税制って細かくいろいろなケースに細分化されています。
知っているのと知らないのでは大きく変わります。
脱税と節税は違いますが、このケースは節税です。
無駄な税金を払うくらいなら私に下さい。(笑)
売却するにしろ、賃貸で利用するにしろ税制を知っておかないと損をしてしまうことがあります。
知識のない不動産屋さんに相談してしまうと、思わぬ損をしてしまうこともありますのでご注意くださいね。