お客様からご相談いただく案件で、たまに
『あー。これはちょっとやっちゃってるな。』
と思うケースがあります。


詳しく話を聞いてると、
『ローンが借りれたら買おうと思ってたら、ローンが付いたので購入しました。』
この手のパターンが圧倒的に多いなと感じます。

サラリーマンをやっていると、何千万円、億単位の融資を受けるなんて今まで想像したこともないので、
『そんなの借りれるわけないんじゃないの?』
そう思っている方が多いように思います。

なので、
『貸してくれるということは、銀行もそれなりに審査しているから大丈夫。』
こう思ってしまうのですよね。

先日のカボチャの馬車のケースでもそうでした。

30坪程度の土地に30坪ほどの建物、これに1億円前後の価格がついているわけです。

普通に考えたら、土地値が坪100万だとしたら3,000万円、建物が坪80万かかったとしても2,400万円。
坪単価がいくらの土地かは分かりませんが、これだけなら流石に高い買い物だと気付くような話ですが、ここにサブリースという落とし穴が潜んでいるのですよね。

何部屋取っていたかは知りませんが、10部屋で6万円とかで借上ていたら月額60万円。
年間720万円。

1億円の買い物だとしても、サブリース付きの安定した収益が得れる。
一般の賃貸と違ってサブリースなので、空室リスクも入居者入替えの費用も発生しない。

金利との差額が丸々キャッシュフロー。

こんな説明だったのでしょうかね?

返済が完了するまで、この約束が守られていたとしたら確かにそうだったのでしょう。

騙す側はあの手この手で自分が話している内容を裏付けるような説明資料を用意しています。

会社案内から過去数年の建築実績、運用実績。

これって銀行を説得するための資料でもあるわけです。

スキームが出来上がっているものって、ほとんど融資スキームもくっ付いています。

新築アパート建築ラッシュの裏には、数年前まで借入期間25年が最長だった木造アパートに30年、35年融資が付き出したからです。

25年返済ではキャッシュフローが回らない物件でも、低金利かつ長期返済によってキャッシュフローが回るようになります。

あっ。
もちろん短期的に見たらという話です。

30年、35年間家賃が下落しないという根拠が存在するわけがない。

『でも、うちなら保証しますよ。』
『過去数年、サブリースの賃料を下げたことないです。』
こんなことを言う営業マンもいます。

軽々しくそんな発言をする営業マンからすると、
『5年後?おれもうこの会社いてないから知らないよ。』
『あと、2、3年したら独立するか転職してるから関係ないや。』
そんなとこでしょうか。

家賃は築年数が古くなれば下がるもの。
サブリースも何年かすれば引き下げられるもの。

家賃が下がらない、サブリースの賃料も引き下げられない。
でも、空き家は増え続けている。
しかも少子高齢化で賃貸人口は減っている。

下がらない理由を無理くり見つけるとすれば、インフレしかありません。

しかも、日銀が目指している2%のインフレではなくハイパーインフレです。

そんなことが起こるのではと思う方は、1億でも2億でも借りれるだけ借りてインフレが起こるのを待てば大資産家になります。

たぶんそう思ったのでしょうかね?

ノストラダムスの大予言で世界が滅亡すると信じて仕事もせず、好きなことをやっていて人生見失ってしまった人を見ました。

そこまで酷くはないですが、ハイパーインフレが起こると信じて人生を左右するほどの借金を背負うのは少々リスキー過ぎやしませんか?

国の借金が膨れ上がって、日本政府が破綻する、こんな説明をする税理士さんがいました。

肩書きがあるだけに、迂闊にも信じてしまいそうになりましたが、国が破綻するのが先か自分が破綻するのが先かと言われれば気付くのではないでしょうか?

今投資用アパートローンの金利、噂のスルガ銀行でも3.5%です。
地方なら4.5%らしいですが。

インフレになればこの金利は驚くほど跳ね上がります。

私が不動産業界に入った当初の住宅ローンの金利は7%、8%の時代でした。

例えば1億円借入れて30年返済元利金等払いで支払ったとします。
3.5%の場合で毎月支払いは44.9万円。
8.5%になれば毎月支払いは76.9万円にもなります。

最初の段階でもキャッシュフローはそんなにあるわけないので、30万円以上支払いが増えることになります。

でもね、同じような長期融資でも1%を切る金利で調達しているお客さんもいるわけですよ。
1%で計算すると支払い額は32.1万円。
何もせずに12.8万円の差が生まれます。

不労所得を目指して不動産投資を始めようとしているあなた。

まず、この12.8万円の差を埋めるところからスタートした方がいいですよ。

ちなみに創業3年目のうちの会社で調達した金利は2.5%です。
同じ30年返済だとすれば、支払い額は39.5万円。
その差は7.4万円。
5万円ほど差が埋まりました。(笑)

うちの場合はこの仕事が業なので、7.4万円の差は十分埋めれると思っての判断です。

なので今の情勢で、この金利より高い金利で調達している方はかなり危険信号です。

同じ物件を購入したとしても、これだけの差が生まれるわけです。

目を皿のようにして血眼になって物件探しをしても、その人たちの収支に勝てません。

まずは、銀行がお金を貸したくなる人になること。

そこが重要なんです。

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『銀行が貸してくれるなら買う。』
じゃなくて、
『この物件が欲しいんだけど、いくら(金利)で貸してくれる?』

『そっか。その金利ならやめとくわ。』

これが失敗しない人たちの考え方です。

『買えるなら、買えるだけ買っておこう。』

そりゃ私も金利0.5%くらいで貸してくれるなら、買えるだけ買っちゃいます。

だって、何買ってもお金残りますもん。

でも、2.5%でしか貸してくれないから厳選するんです。

4%なら買いません。
すぐに転売できる物件なら5%でも10%でも金利は払いますが。

転売できない物件を金利4%前後で買ってしまえば、それはマンションオーナーではなく多重債務者です。


騙される側が悪いわけではありません。
もちろん騙す側が悪いんです。

でも、そこに罪悪感を感じさせない業界の闇があるのです。

そういう業者さんがいるから、売れない物件も売れる。

そこそこのもの仕入れるだけで出口が見える。

この件の当事者だけでなく、その恩恵を受けている人たちも多くいるはずです。

建築会社さん、土地をおろしていた業者さん。

怖いでしょ?

この人たちは何も悪いことをしていません。
ただ建物を建てただけ。
ただ土地を仲介しただけ、売主だっただけ。

ですもんね。

銀行と売主、仲介業者さんの間にたくさんの忖度があったことと思われます。

ただ忖度という言葉が使いたかっただけですが。(笑)

不動産価値と融資金額には乖離があったはずなので、不動産鑑定とかも入れていたんでしょうね。

不動産鑑定士さんもお抱えだったのかな?

融資を決める要因はいくつもあります。

例えば純資産5億円ある方が、5,000万円の不動産を購入したい。
でも、その不動産の価値はどう見ても3,000万円。
普通なら取り組みしないでしょと思うのですが、その後ろに見え隠れする5億円のお陰でスーッと5,000万円の融資が下りてきます。

これは極端な話ですが、預金通帳の改ざんの話も出ていましたよね?

いくらに書き上げたのかは知りませんが、下手したら本来の預金額と一桁違っていたのかも。

買える物件を探すのではなく、貸したくなる人になる。
これが不動産投資で成功する一番の近道です。
今日はこういうお話でした。



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