スルガ銀行不適切融資問題が大きな社会問題になっています。
創業者一族の会社にも不適切融資。。。
かぼちゃの馬車に引き続き、TATELUでも預金残高改ざん・・・

不動産投資に対して非常にネガティブなニュースが続いています。



こうなると不動産投資家の中では、不動産バブルが弾けて収益不動産の価格が下がるんでは?
とザワザワし始めていますね。

で、本当にそうなるの?

ここがとても気になるところです。

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まず、スルガ銀行の話から。
過剰融資で、その中でも銀行預金残高の水増し、売買代金の書き上げ、資産保有法人設立による複数棟への融資。
もう書き出すと止まらないくらい、現代の錬金術のような悪魔のテクニックがどんどん露呈しました。

これってスルガ銀行だけだと思っている人も少なくはないとは思いますが、実は昔からやられている常套手段だったりします。

今は誰もがパソコンを使いこなす時代ですから、PCでちょこっといじって数字を改ざんしたりしているのでしょうが、昔は切り絵、貼り絵で図工のような手作業でやっていました。

私がこの業界に入った当初は、みーんな普通にやっていましたから、
『そんなもんなんだ。』
って若い頃は見ていた(聞いていた)思い出があります。

見ていたはあかんな。(笑)
まるで自分の目の前でやってたように聞こえますもんね・・

ごくごく業界では普通に行われていた作業だったということです。
住宅ローンでも頭金2割というのが昔は当たり前の時代があったので、その数字を作るために売買契約書を書き上げる、預金残高も頭金が出せる金額まで改ざんする、こんなことが行われていたわけです。
でもそのうち、
『売買契約書の原本を持ってきて』
『領収書の原本が必要です。』
『預金通帳原本確認させてね。』
改ざん防止のため、そういう手立てが取られるようにもなっていきました。
なので、こんなニュースが出た時に
『えっ。原本確認いらないんだ?』
『そりゃ、やりたい放題やられるよな。』
こんな風にしか思いませんでした。
でも、それを分かっていて貸してるのも新入社員以外はご存知なはずですよね?

だって、この低金利、マイナス金利と言われる時代に4.5%の金利(東京、大阪など都心部の物件は3.5%)で長期で貸し出しているわけですから、特別な事情を持ったお客さんしか元々来ないわけです。
特別な事情というのは、
①他行で評価が伸びなく満額融資がつかない物件の持ち込み
②物件の耐用年数が短い(超過している)ので、短期でしか借りれないが超長期の返済を希望している
③属性が弱い(年収や勤続年数、勤務先)
※ここは低属性のお客さんなら土台に乗らなかったりしたので微妙かな
④自己資金が乏しく、フルローン、オーバーローンをひきたいお客さん
これらのお客さんしか、3.5%超の金利では通常は検討の余地すらありません。

つまり、元々ターゲットは何らかの弱みを持っている人です。
ここからが辻褄が合わないのが、被害者の多くが高給サラリーマンだということです。
本来弱みなどあり得ないはずの人々です。
まともな不動産屋さんに出会っていれば、この金利で資金調達をしなくていい面々なのです。

彼らが陥ったワナ。
それは、レバレッジという言葉のワナ。
資金500万円を不動産投資に回して回収できるのはせいぜい年間60万、70万円です。
それが、その頭金500万円を使って5千万円、1億円のローンを組めば、年間100万円、200万円のキャッシュフローを生むことができますよ。
元手にレバレッジをかけて、より多くのキャッシュフローを得ましょう。
こんな話の展開だったのでしょうか?
中にはこの500万円の自己資金さえもローンで賄っている人もいましたから、レバレッジは∞です。(笑)

資産=不動産価格
という勘違いから、不適切融資に巻き込まれるわけですが、その方々は資産純資産の違いを理解していたのでしょうか?

純資産=資産ー負債
借金の額と不動産価格(売却時の価格)との差額が純資産であり、借金の額が多ければそれはただの負債です。

不動産を購入した時点より、高く売却できる物件を取得して初めて不動産投資はプラスから始まり、購入した時点より売却時の価格が下がるようであれば、ただ負債を背負っただけということになります。
毎月のキャッシュフロー?
そんなもの、資産の目減り額からするとただの損失補てんです。

収益不動産価格がここ数年上昇し続けました。
それは、金融機関がじゃぶじゃぶだったからですが、一番大きな要因はこのサラリーマン投資家さんたちの登場により、市場が大きく開拓されたからです。
一部の資産家の人々、不動産屋さんのみなさん、地主さんだけの市場だった収益不動産市場が一般の人に広がった瞬間に相場は跳ね上がったのです。
築30年、40年の中古不動産は、それまでは耐用年数の問題で長期融資が受けられず、短期での支払いが可能な価格での取引が行われていました。
そこに、耐用年数を超過して、しかも超長期で融資を行う金融機関が登場したのですから、業界はざわめき立ちます。
出口を失って、風前の灯だった築古収益不動産が、高利回りという名の下に陽の光を浴びました。
表面利回り15%→12%、そして10%の表面利回りでも売れていきました。

4.5%の金利を支払っていこうとすると、最低限この利回りがないとキャッシュフローは回りません。
だって不動産の利回りって、満室時の想定利回りですもの。
一年間満室のまま、こんな奇跡は部屋数が多くなるとあり得なくなります。
さらにここから、毎月かかる経費を差し引き、固定資産税、所得税を差し引き、いくら残るの?

しかも25年後、30年後も同じ家賃収入を維持することなどできるわけもありません。
だから、高利回りだったんです。
本来は。
その前提を覆したのが、金融機関であり、将来のリスクを説明しない不動産業者だったのです。

かたや、築浅の物件、とくにRC造の物件は以前と比べてどの程度高騰していったのか?
以前は9%弱の利回りでも築20年くらいのものまでなら手に入りました。
今は築20年でも7%前後です。
『やっぱり高くなってるやん?』
そうでしょうか?
その当時、優良な顧客でも調達金利は1%台前半でした。
今は?
0.6%、0.7%、中には0.5%というお客さんもいます。
利回りが下がった分、金利も下がってるのでキャッシュフローはほぼ変わりありません。
当然、金利3%台、4%台で調達していればキャッシュフローを回せません。
つまり、客層が全く違うのです。
この層は、何棟買おうが無差別に融資を引き出せます。
外国人投資家たちもどんどんこちらの市場に参入しています。
日本の金融機関から資金調達して購入しても、その差額だけで十分な利益を生み出すからです。
また、相続税対策用、売却した不動産の買換え特約需要は尽きていません。
元々10年超所有していた事業用不動産(賃貸用含む)を買換えたときに、その利益を購入物件に付け替えることができるというものです。
築古の不動産を高値で売却し、十分な利益を得、さらに買換えで築浅RCに持ち替える。
これが今の富裕層の動き方です。

みなさんがお探しの物件はどちらの物件ですか?
①築30年10%超の収益物件
②築20年以内のRC物件
③築10年そこそこの鉄骨造

②③なら、買い時が来るのはまだ先の話かもしれません。
①の物件は、金融機関の締め付けが厳しくなってくることが予測されますので、言ってる間に下がってくるでしょう。
ただ、今までのような満額融資は夢の話でしょうが。

上がった相場はいつかは下がります。
下がったタイミングで買うのは、度胸と資金力が必要です。
もし、そのタイミングを待ち焦がれているのであれば、金融機関から無条件に資金を引き出せるほどの実力を身につけなければいけません。
1億円持ってる人には、どこの金融機関でも1億円貸してくれますよね?(笑)

極端な話を言えば、そのお金を見せ金に使えれば、何棟でも購入できるかもしれませんね。

今が買い時とは言いません。
今しか融資を組めないから、今のうちに。
っていうのも遠からず当たっています。
収益用不動産ですから、一生涯同じ物件を保有し続ける必要はないわけです。
株でも銘柄を度々入れ替えるでしょ?

でも、高いのが分かっていて、しかもお金を借りてまで購入する必要はどこにもないと言うことです。
高くで売れる見込みがある。
今の家賃収入をUPできるアイデアがあり、家賃収入を向上できれば購入時より高値で売却できる見込みが立つ。
それならば融資を受けてでも購入すべきじゃないですか?

結局、収益と名がつくものは全てビジネスです。
安く仕入れて高く販売する。
分かりやすいたった一つの真理です。

みなさん、甘い言葉に惑わされないようにしっかりと見る目を養いましょうね。