不動産業界に入って26年、長いこと売買取引に関わっています。

そして、住宅ローンから不動産投資のアパートローン、そして事業融資、不動産売買のプロジェクト融資、創業資金まで多くの融資取引にも関わっています。




その中でいつも疑問だったのが、なぜ住宅ローンはお客さんの内容に関わらずこんなに低金利なの?

アパートローンでもこの人とこの人の内容が全然違うのに、大して金利が変わらないのということでした。

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今住宅ローンを借りる場合、0.5%で借りれる人もいれば0.7%〜0.9%あたりとほとんど差はありません。
変動金利の話ですが。

0.2%の差というと、3,000万円借りた場合でも年間6万円弱の差です。

でも、お客さんの内容で比べるとその差は歴然です。

自己資金、貯蓄額が何千万円、方や貯蓄はほとんど0、年収も返済比率も大きく変わっていてもその金利は然程差が生まれません。

事故率でいうと大きく変わるはずなのですが。

またアパートローンでも同じです。

金融機関ごとに金利の差はありますが、お客さんの内容による差は然程変わりません。

a銀行でAさんは1.8%、Bさんは2.3%。
b銀行でAさんは0.6%、Bさんは1.3%。
この程度の差ではないですかね。

もちろんヘビーユーザーというか、長いお付き合いをしている金融機関では、良客と一見のお客さんではもっと金利差は出るでしょうが、カードローンのような金利差の開きは生まれていません。

住宅ローンでもアパートローンでも、カードローンのような金利差があってもいいんじゃないのというのが個人的な意見です。

カードローンっていうのはもちろん無担保の融資商品です。

判断基準は個人情報しかありません。
高額の融資の場合は収入証明の提出は必要ですし、自己申告ではありますが他の資産の状況も開示します。

今カードローン破産とかの問題もたくさん起こっていますが、その人の借入金利っていくらなんでしょうね?

例えば楽天銀行カードローンの広告では1.9%〜14.5%となっています。

14.5%というと利息制限法で定められている上限金利15%(100万円以上の場合、その他借入金額により異なる)ほぼ一杯の金利です。

8倍近い差がありますが、この最低金利で借りれるような人の事故率ってどのくらいあるのでしょう?

具体的なデータが見つからなかったので、検証するのはまた見つかったときにということにしますが、最初の貸出時に審査を行っていますからカードローンを低金利で貸出ししている人の事故率はかなり低いのではないでしょうかね。

不動産の場合、融資を受ける際にその不動産を担保にしますので無担保の金融商品より金利は低くなります。

返せなかったら、その担保権を実行すればいいわけですので。

ただ、今の住宅ローンしかもフルローンの場合、担保権を実行して貸出額の全額を回収できるかといえばほとんどのケース回収はできません。

その時点での相場になりますので価値の判断は難しいでしょうが、100%近く回収の見込みがある場合は超低金利、7割、8割程度しか回収の見込みが立たない場合はその部分に関しては高金利。

融資も二本立てにして、低金利の部分、高金利の部分に分けてあげれば債務者も挙って高金利の部分から繰上げ返済するでしょうから取りはぐれも少なくなり、低金利の分の担保は十分確保できる。

そんな仕組みに沿って融資組みをしていけば、金融機関も収益向上、融資利用したい人も金利は高くなるけど融資を受けやすくなる利点が生まれそうです。

今のローン審査と言えば、承認か否決、条件付の保留、このいずれかです。

否決になった人、例えば年収が低い人、勤続年数の浅い人、歩合給など収入にばらつきのある人、自営業者の人でも購入したいという意思は人一倍ある方もいます。

そういう方の受け皿が住宅ローンの場合は、スルガ銀行だったりしたのですよね。

ただし4%前後の金利にはなっていました。

本来ならこれでいいじゃない。
仕方ないじゃない。
勤続年数が長くなったり、収入が上がったときに借換えすればいいじゃない。
自営業者ならきちんと申告をして税金を納めてから借換えすればいいじゃない。

と思うのですが、周りの人たちが金利0.6%、0.7%辺りで借りているのを目にすると、
『なんだかもったいないな。』
『きちんと申告してから買おうか。』
『収入上がってから買うことにするか。』

こういう選択肢に陥ります。

でもそういう人ほどこれからも申告はきちんとしませんし、収入を上げる努力もしません。

一旦購入してから借換えという選択肢を選べば、借換えできた時点から大幅に支払額が減りますから一生懸命努力するでしょう。

ただし、購入時点でフルローンという選択肢を選んでしまえば借換えの選択肢は持ちにくくなります。

借換先で担保評価割れをしてしまうからです。

なので、先ほどのケース、スルガ銀行でも自己資金は2割ほど必要ですよというのが前提でした。

アパートローンでも同じです。
担保余力以上に貸出します。
その代わり金利は高いです。
担保余力に不足している分は自己資金でご用意くださいね。

こういう話なのです。
本来は。

プラス借換えを想定して、他行の耐用年数に沿った借入期間内で借入れをしていれば
『スルガさんの物件はうち借換えできないですよ。』
こんな断られ方しないのですよね。

金利が高いのは仕方ない。
物件の問題や、借入する本人の問題です。

ただ、金利が高い金融機関で借りるなら、将来借換えすること、借換えできるような借り方をしておくこと、これが最重要です。

みんな使い方が間違っているだけのこと。

スルガ銀行が悪いのではなく、使う人の使い方が間違っています。
また、その使い方を指導していない業者に問題があります。

『売れればいいや。』
結局ここだけなんですね。

スルガ銀行=悪

ではないのですのね。

振り込み詐欺が多いから、プリペイド携帯、ATMを無くしてしまえみたいな議論です。

外国人旅行者にとってプリペイド携帯ってとても便利だと思うんですよね。

話は変わりますが、リーマンショックで話題になったサブプライムローンがあります。

これは外国人移民の人や低所得の人向けの住宅ローンでした。

アメリカでは中古住宅の価値が日本のように大幅に下がることがなかったのでできた仕組みです。

不動産を担保に取ることにより、取りはぐれを少なくする。
また、リスクのあるお客さんに対して、高金利をもらいカバーする。

とてもよくできた商品だと思います。

なんで破綻したのかというと、不動産バブルが起きて不動産価格が大きく上昇したからです。

不動産価格が上昇すれば融資金額も大きくなります。
融資金額が大きくなれば返済金額も増えます。

返済金額が増えれば、返済できなくなる人が増えます。

返済できなくなった物件は競売にかけられ、多くの物件が市場に出回ります。

すると、不動産価格は暴落します。

暴落すると担保割れが起こります。

一気に破綻・・・    

アメリカの場合はもともとノンリコースローンですから、不動産で担保回収できない場合でもその他の資産に負債は及びません。  

なので未回収の債権が膨れ上がったわけです。

日本の場合は、ノンリコースではありませんので不動産が競売にかけられ、借金が残り、さらに預金凍結や給料の差押えまで入ります。

それがあるので、担保余力以上に貸出ししているわけです。

そこにみんな気付いているのでしょうか?

不動産業者はきちんと説明しているのでしょうか?

『返せなかったら物件売ればいいんです。』

あたかも物件を売却すれば借金は棒引きのような話を真に受けていませんか?

不動産業者は金融知識がなくてもローンの斡旋を行なっています。

そもそもこの制度に疑問を覚えてしまいます。

また、金融機関担当者も金銭消費貸借契約(略して金消契約)の際にサラーっと流す説明をするだけです。

もちろんそこで債務者が
『恐いからやめとく。』
となって不動産契約が流れてしまうと大ごとですから、そういう説明になってしまいます。

不動産斡旋の業務と金融商品斡旋の業務、きっちり区分けして免許を発行した方がいいのでは?
  
ローンに強い業者=金融商品の知識が高い業者

ではなく、ローンの通し方がうまい業者さんなんです。

『奥さんの収入を合算すれば多くの借入できますよ。』
『家具や家電を購入する資金を物件価格に乗せて、頭金を出している形を取りましょう。』 

収益物件なら
『修繕の実施履歴を売主に書いてもらうので、耐用年数を伸ばして融資年数伸ばしましょう。』
『家賃収入、実際よりも多いように書類書きなおしますので、それで提出しましょう。』

いくらでも方法はあります。

でもそれって、本来の評価以上のものに変換しているだけで返済能力とは別物です。

なのでそういう借り方をしていればいずれ収支(家計)を圧迫します。

正しい評価で融資を受けることが本来の正しい姿なんですけどね。

今の住宅ローンは頭金なしで、収益物件も自己資金なしで。
この風潮はダメです。

お金がない人がマンションオーナーになったり、貯金のない人が家を購入したり。

完済するまで所有し続けている姿が想像できません。

『こんなこと言ってたら不動産売れなくなるよ。』

そうなんですよね。
実際にマイホームも収益物件もそのような形での購入希望者がほとんどです。

でも、将来支払いができなくなって困ってる姿を見たくない。

そんな気分になるんです。

不動産屋に向いていないのかな?
今さらですが。(笑)

担保評価に対しての融資、市場再販価格での融資上限に決まりがあればそのようなことは起こりません。

なので、金融機関がまともな状態に戻ってくれれば私の悩みは改善されるのですが。

ようやく題名の金融スコアの話になります。(笑)

年収、年齢、勤務先、資産状況、国家資格、家族構成などで各個人の金融スコアをつけ、格付けする機関とかできないもんでしょうか?

企業でいうと帝国データバンクみたいな。

このデータは融資審査の際に活用でき、自らも随時更新でき自分の金融スコアを閲覧できる。
もちろん金融機関も個人情報の照会の同意があれば閲覧できる。

年収や資産が増えれば金融スコアが上がり、そのスコアにより金融機関の金利も連動する。

各金融機関にローン用の収入証明を提出する必要もなく、住宅ローンを組みたいという意思表示をすれば金融機関側からアプローチが来る。
『うちの銀行なら◯%で融資させてもらいますよ。』

0点から100点まで。
90点以上なら、どこの金融機関でも無条件に融資が受けられ、50点未満ならどこも貸してくれない。

でも、自分の現在置かれている立場が把握できるので改善しようと努力するかもしれないですしね。

通帳の改ざんみたいな下らない不正も防げるかもしれません。

そんな時代になるかもしれません。

信じるか信じないかはあなた次第です。