本日大阪市阿倍野区あべのメディックスビル12階で
第1回 国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の認定申請に関する説明会が行われ、参加してきました。
会場には多くのTV局のカメラマンも来ており、世間での注目度がうかがえました。
今日はその中の内容について、少し掘り下げて見ていきます。
内容については前回このブログで書いたことと大きくは変わりませんが、いくつかこの説明会に参加するにあたり質問をぶつけていたので、その中身についてご回答いただいたことも書いていきたいと思います。
まず、今回の国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業、長いので以下、特区民泊と縮めます。
この特区民泊の実施地域ですが下の図の通りになっています。
分かりにくい場合はクリックしていただいたら見やすくなるかもしれません。
浪速区、中央区、西区はほぼ全域、その他の地域は実施できない地域もあるのでご注意を。
日数は以前にも書きましたが、現状では6泊7日以上。
今後政府の政令が改正されれば大阪市議会の承認手続きは必要だが、2泊3日に改正される予定だということです。
ただ、今月、来月には間に合いそうにはないですから、とりあえずは6泊7日以上で始まることになります。
次に平米数の規定は25平米です。ただ当初は内法でかと思っていたのですが、壁芯でということでした。
パンフレット上とかで記載されている平米数ということになります。
次に宿泊者には、合い部屋を認めず1グループの使用のみに限定。
使用説明等は外国語で行うこと。
すべての言語に対応している必要はありませんが、宿泊者に説明できる言語は必要ということです。
ここまではすでに前回のブログでも書いた内容です。(内容についてはこちらを参照ください)
まず、賃貸物件で行う場合の注意事項。
1.賃貸借契約書に『民泊』が可能と記載されている場合はその賃貸借契約書のコピー
※転貸借の場合は、その転貸借契約書(所有者と貸主)、(貸主と契約者)それぞれの契約者に『民泊』が可能と記載されていること。
2.『民泊』可否記載なしの場合は、契約書の写し及び承諾書の写し
※転貸借の場合、この場合も両者の承諾書と両方の契約書が必要
3.『民泊』不可と記載されている場合は、申請不可
このような内容になっています。
したがって、オーナー様が承諾していない場合は申請がまず出来ない内容になっています。
次に分譲マンションの場合
1.管理規約で『民泊』が可能になっている場合は、管理規約の写し
2.管理規約で記載のない場合は管理組合の承諾書
3.民泊不可となっている場合は不可
だそうです。
今のところ管理規約に『民泊』OKとなっているマンションは知りえる限りありません。
今後は出てくるかもしれませんが、既存のマンションで管理規約の変更には管理組合の総会で区分所有者および議決権の4分の3以上の決議が必要になります。
なかなか厳しいと言わざるを得ません。
次に管理組合の承諾書。これも出してくれる管理組合などそうそうないように思えます。
誰の責任で出すかというところになるのですが、この承諾書を出すにも総会で意見を求める必要も出てくるでしょうし、かなりハードルの高い話になるように思えます。
なぜハードルが高いかという話はまた後で述べますが。
分譲マンションの一室で民泊を行うという道がほとんど閉ざされたような気はします・・・
ここからが本日の説明会で知りたかった内容です。
消防法と建築基準法の話。
簡易宿所の申請、大阪府の民泊条例の申請には『建築確認済証』というものが必要でした。
でも、今回の大阪市の特区民泊の説明には書かれていなかったので、どうなっているのかなと思い質問を事前にお渡ししていました。
その回答は、「今回の申請には建築確認済証は必要ありません。ただ、使用用途の確認はします。」
とのことでした。使用用途というのは建物の登記簿上に記載されているもので共同住宅や店舗、事務所、居宅などの種類があります。
もちろん旅館業の申請なら『旅館』という用途が書いてあることが必須になるのですが、今回は特区民泊ということなので、『共同住宅』もしくは『寄宿舎』でOKだそうです。
ここさえクリアできれば既存のほとんどの建物で申請可能になるかと思われます。
あと、年間使用制限の問題ですが以前噂されていた180日以内という規定も今回は全くありません。
フル稼働してもいいですよという内容です。
これは大きい話ですね。
年間の半分以下ということになれば収益性も薄れますので、フル稼働できるというのは一つの魅力です。
その他には対面式の鍵渡しが望ましい。
これは努力義務です。必須ではありません。
画像による確認ができれば現場での鍵のピックUP、ダイヤル式、暗証番号式の鍵でもOKとのことです。
パスポート全員分の写しを3年間保管しておくということもありました。
これは事前にもらうことも可能ですので、チェックイン時に画像、SkypeやTV電話などで確認しておくというやり方でも行けそうですね。
苦情処理という問題は申請前に近隣住民に告知することを義務付けています。
マンションで行う場合は他の全世帯。
それプラス敷地が面している建物。
前面道路をまたぐ場合は10m以内の建物。
ただし、建物同士が20m以上離れている場合は該当外ということになるそうです。
近隣住民に対しては、説明会を開催する、もしくは訪問で説明することを義務付けています。
そして、建物出入り口、部屋の出入り口に責任者の名前、連絡先等を貼りだすことも義務付けています。
苦情処理に関しては24時間体制を取ることとも言っていました。
ゴミ処理の件も事前に問題として取り上げられていたみたいなので、そこにも触れていました。
家庭用のゴミの扱いにはならないので、事業系ゴミの処理をしてくださいと。
大阪市が回収するゴミには該当しないということで、ゴミ収集業者に依頼するようにということです。
余分な費用はかかりそうですね。
ここからがポイントです。
消防法の問題です。
先ほど、建築基準法上の問題で共同住宅、寄宿舎はOKという話をしました。
ただ、今回の特区民泊でも消防法上は共同住宅の扱いではなく、旅館業の扱いになってしまうそうです。
何が異なるかというと、まず火災報知器。
家庭用火災報知器であれば、ホームセンターでも500円程度で売っています。
感知する部分と警報が一体になっているタイプですが、今回求められているのは自動火災報知機の設置です。
感知器だけでなく、受信機や発信機なども必要になります。
安くても何万かというところですが、マンションの一室の場合、その部屋だけでいいのか、マンション全体で必要なのかによって大きく費用は変わります。
また消防点検、消防報告の頻度も変わります。
住宅だけの場合消防報告は3年に1回ですが、特区民泊となると1年に1回に変更されます。
1室だけでも適応になるかどうかということですが、たぶんそうなるみたいです。
このあたりは日を改めて消防署にもう一度確認してきます。
最後に固定資産税の問題です。
これはまた詳しく書きますが、居住用のマンションなどの場合、住宅の土地の固定資産税が特例で安く抑えられています。
小規模住宅用地は1/6、一般住宅用地は1/3と2段階に分けて軽減されているのですが、特区民泊を使った場合、この特例の適応が審議されるということなのです。
全体を使用する場合は、適用除外。
一部を使用する場合は、床面積の割合に応じてという見解のようですが、これについても再調査が必要かと。
つまり、特区民泊を申請することにより、消防費用、固定資産税などのコストは増えてしまいます。
オーナー自らが申請する場合は別でしょうが、店子が申請することにより固定経費が増大するというのはオーナーにとって喜ばしいことではありません。
賃貸で借りて事業者として登録したい人は、そのあたりの費用を負担する必要性は出てくるでしょう。
貸す側もそのあたりの費用負担の増大というのは考えておかないといけませんね。
ただ、合法的に民泊を運営するハードルは非常に低くなりました。
今回の申請開始に伴い、どれくらいの事業者が登録し、またどのくらいの未申請者が撤退するかということはわかりませんが、もし未申請者が市場から完全撤退し、登録業者だけ事業者として稼働するとなればその収益は家賃収入の倍や3倍という話ではなくなるかもしれません。
外国人だけでなく、日本人旅行者までターゲットにできるのならもっと収益性は伸ばせるかもしれません。
空室で困っているオーナー様にとっては、今回の条例施行が救世主になるかもしれませんね。
また固定資産税、消防などの話は後日改めて詳しく書きますのでお楽しみに。
第1回 国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業の認定申請に関する説明会が行われ、参加してきました。
会場には多くのTV局のカメラマンも来ており、世間での注目度がうかがえました。
今日はその中の内容について、少し掘り下げて見ていきます。
内容については前回このブログで書いたことと大きくは変わりませんが、いくつかこの説明会に参加するにあたり質問をぶつけていたので、その中身についてご回答いただいたことも書いていきたいと思います。
まず、今回の国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業、長いので以下、特区民泊と縮めます。
この特区民泊の実施地域ですが下の図の通りになっています。
分かりにくい場合はクリックしていただいたら見やすくなるかもしれません。
浪速区、中央区、西区はほぼ全域、その他の地域は実施できない地域もあるのでご注意を。
日数は以前にも書きましたが、現状では6泊7日以上。
今後政府の政令が改正されれば大阪市議会の承認手続きは必要だが、2泊3日に改正される予定だということです。
ただ、今月、来月には間に合いそうにはないですから、とりあえずは6泊7日以上で始まることになります。
次に平米数の規定は25平米です。ただ当初は内法でかと思っていたのですが、壁芯でということでした。
パンフレット上とかで記載されている平米数ということになります。
次に宿泊者には、合い部屋を認めず1グループの使用のみに限定。
使用説明等は外国語で行うこと。
すべての言語に対応している必要はありませんが、宿泊者に説明できる言語は必要ということです。
ここまではすでに前回のブログでも書いた内容です。(内容についてはこちらを参照ください)
まず、賃貸物件で行う場合の注意事項。
1.賃貸借契約書に『民泊』が可能と記載されている場合はその賃貸借契約書のコピー
※転貸借の場合は、その転貸借契約書(所有者と貸主)、(貸主と契約者)それぞれの契約者に『民泊』が可能と記載されていること。
2.『民泊』可否記載なしの場合は、契約書の写し及び承諾書の写し
※転貸借の場合、この場合も両者の承諾書と両方の契約書が必要
3.『民泊』不可と記載されている場合は、申請不可
このような内容になっています。
したがって、オーナー様が承諾していない場合は申請がまず出来ない内容になっています。
次に分譲マンションの場合
1.管理規約で『民泊』が可能になっている場合は、管理規約の写し
2.管理規約で記載のない場合は管理組合の承諾書
3.民泊不可となっている場合は不可
だそうです。
今のところ管理規約に『民泊』OKとなっているマンションは知りえる限りありません。
今後は出てくるかもしれませんが、既存のマンションで管理規約の変更には管理組合の総会で区分所有者および議決権の4分の3以上の決議が必要になります。
なかなか厳しいと言わざるを得ません。
次に管理組合の承諾書。これも出してくれる管理組合などそうそうないように思えます。
誰の責任で出すかというところになるのですが、この承諾書を出すにも総会で意見を求める必要も出てくるでしょうし、かなりハードルの高い話になるように思えます。
なぜハードルが高いかという話はまた後で述べますが。
分譲マンションの一室で民泊を行うという道がほとんど閉ざされたような気はします・・・
ここからが本日の説明会で知りたかった内容です。
消防法と建築基準法の話。
簡易宿所の申請、大阪府の民泊条例の申請には『建築確認済証』というものが必要でした。
でも、今回の大阪市の特区民泊の説明には書かれていなかったので、どうなっているのかなと思い質問を事前にお渡ししていました。
その回答は、「今回の申請には建築確認済証は必要ありません。ただ、使用用途の確認はします。」
とのことでした。使用用途というのは建物の登記簿上に記載されているもので共同住宅や店舗、事務所、居宅などの種類があります。
もちろん旅館業の申請なら『旅館』という用途が書いてあることが必須になるのですが、今回は特区民泊ということなので、『共同住宅』もしくは『寄宿舎』でOKだそうです。
ここさえクリアできれば既存のほとんどの建物で申請可能になるかと思われます。
あと、年間使用制限の問題ですが以前噂されていた180日以内という規定も今回は全くありません。
フル稼働してもいいですよという内容です。
これは大きい話ですね。
年間の半分以下ということになれば収益性も薄れますので、フル稼働できるというのは一つの魅力です。
その他には対面式の鍵渡しが望ましい。
これは努力義務です。必須ではありません。
画像による確認ができれば現場での鍵のピックUP、ダイヤル式、暗証番号式の鍵でもOKとのことです。
パスポート全員分の写しを3年間保管しておくということもありました。
これは事前にもらうことも可能ですので、チェックイン時に画像、SkypeやTV電話などで確認しておくというやり方でも行けそうですね。
苦情処理という問題は申請前に近隣住民に告知することを義務付けています。
マンションで行う場合は他の全世帯。
それプラス敷地が面している建物。
前面道路をまたぐ場合は10m以内の建物。
ただし、建物同士が20m以上離れている場合は該当外ということになるそうです。
近隣住民に対しては、説明会を開催する、もしくは訪問で説明することを義務付けています。
そして、建物出入り口、部屋の出入り口に責任者の名前、連絡先等を貼りだすことも義務付けています。
苦情処理に関しては24時間体制を取ることとも言っていました。
ゴミ処理の件も事前に問題として取り上げられていたみたいなので、そこにも触れていました。
家庭用のゴミの扱いにはならないので、事業系ゴミの処理をしてくださいと。
大阪市が回収するゴミには該当しないということで、ゴミ収集業者に依頼するようにということです。
余分な費用はかかりそうですね。
ここからがポイントです。
消防法の問題です。
先ほど、建築基準法上の問題で共同住宅、寄宿舎はOKという話をしました。
ただ、今回の特区民泊でも消防法上は共同住宅の扱いではなく、旅館業の扱いになってしまうそうです。
何が異なるかというと、まず火災報知器。
家庭用火災報知器であれば、ホームセンターでも500円程度で売っています。
感知する部分と警報が一体になっているタイプですが、今回求められているのは自動火災報知機の設置です。
感知器だけでなく、受信機や発信機なども必要になります。
安くても何万かというところですが、マンションの一室の場合、その部屋だけでいいのか、マンション全体で必要なのかによって大きく費用は変わります。
また消防点検、消防報告の頻度も変わります。
住宅だけの場合消防報告は3年に1回ですが、特区民泊となると1年に1回に変更されます。
1室だけでも適応になるかどうかということですが、たぶんそうなるみたいです。
このあたりは日を改めて消防署にもう一度確認してきます。
最後に固定資産税の問題です。
これはまた詳しく書きますが、居住用のマンションなどの場合、住宅の土地の固定資産税が特例で安く抑えられています。
小規模住宅用地は1/6、一般住宅用地は1/3と2段階に分けて軽減されているのですが、特区民泊を使った場合、この特例の適応が審議されるということなのです。
全体を使用する場合は、適用除外。
一部を使用する場合は、床面積の割合に応じてという見解のようですが、これについても再調査が必要かと。
つまり、特区民泊を申請することにより、消防費用、固定資産税などのコストは増えてしまいます。
オーナー自らが申請する場合は別でしょうが、店子が申請することにより固定経費が増大するというのはオーナーにとって喜ばしいことではありません。
賃貸で借りて事業者として登録したい人は、そのあたりの費用を負担する必要性は出てくるでしょう。
貸す側もそのあたりの費用負担の増大というのは考えておかないといけませんね。
ただ、合法的に民泊を運営するハードルは非常に低くなりました。
今回の申請開始に伴い、どれくらいの事業者が登録し、またどのくらいの未申請者が撤退するかということはわかりませんが、もし未申請者が市場から完全撤退し、登録業者だけ事業者として稼働するとなればその収益は家賃収入の倍や3倍という話ではなくなるかもしれません。
外国人だけでなく、日本人旅行者までターゲットにできるのならもっと収益性は伸ばせるかもしれません。
空室で困っているオーナー様にとっては、今回の条例施行が救世主になるかもしれませんね。
また固定資産税、消防などの話は後日改めて詳しく書きますのでお楽しみに。