破綻している大家さんが増えているというニュースが出てきたり、テレビで特集で取り上げられたりしています。

これは今に始まったことではありません。
以前からよくある話です。

でも今の状況下で破綻するというのは考えられない話です。

だって投資用不動産の価格は下落していないのですよ。

今破綻している大家さんは、
『市場より高い物件を買わされている。』
『全額融資、超長期融資というエサで釣られている。』
これだけのことです。

私が始めて一棟もののマンションを所有(会社名義ですが)は10年ほど前の話です。
その時借りた金利は4.0%でした。
みなさんが調達している金利に比べて高いでしょ。
そうなんです。
高かったんです。
10年返済でしか貸してくれず、しかも元金均等返済です。
最初は空室もありましたから、毎月の支払いをすればキャッシュフローは全く残りませんでした。

みなさんなら買いますか?

私は何回同じ機会があったとしても多分買います。

ポイントは2つ。
その物件の融資が耐用年数以内だったこと。
元金均等返済で空室のある状態でキャッシュフローがマイナスにならなかったことです。

ちなみに元金均等と元利均等払いの違いはご存じでしょうか?
元利均等返済というのは、毎月の支払い額が一定になるように計算された支払い方法で、一般的に住宅ローンで利用している方も多いのではないでしょうか?



そして元金均等払いというのは事業性ローンなどで使われているもので、自営業者の方が政策金融公庫などで開業資金を引っ張ったりするとこの支払い方法になっていたりします。



つまり本来事業用である不動産投資ローンはこの返済方法の方が望ましいのです。

家賃はいずれ下降線をたどります。
新築から年数が経過するたびに当然安くなります。
それに伴い返済額も減る方が本来は望ましいのです。

しかし今の不動産投資ローンは元利均等払いで組まれるケースがほとんどです。

なぜか?

簡単です。
元利均等払いの方が毎月の支払い額が安くなり、キャッシュフローが残るように見えるからです。

それはそれでうまく利用できればいいんですが、うまく利用するどころかうまく利用されちゃってるから困りものなんです。

融資を完済しようとすると、元利均等払い比べ元金均等払いの方が総支払額は安くつきます。

それは金利というものはその時の残債に付加されるものだからです。
元金均等払いは元利均等払いに比べて元本が減っていくのが早くなります。
その分利息が安くつき総支払額が安くなるということなのです。

でもそもそも20年間なのか30年間なのか分かりませんが、最後まで払いきろうとするから問題なのです。

住宅ローンでも35年ローンとかで組みますが、決められた毎月の返済額をコツコツ返しているだけではなかなか返し終わるものではありません。

住宅ローンを完済した人のほとんどは余裕のある時に何度も繰上げ返済した人か、途中で売却した人ではないでしょうか?

もちろん最初から35年ローンを組めるのに15年とか20年ローンしか組まなかったり、購入時にしっかりと頭金を入れている方は別ですよ。

フルローンで、MAXの期間で組み、繰上げ返済できる余裕がなければそりゃ破綻しますよ。

30年間、35年間病気やケガもなく、収入にも変化がない人などいるのでしょうか?

そもそも不動産投資って、節税目的で購入するものではありません。

節税効果はオマケの部分であり、副収入を求めるものでなければいけません。

普通の人が副収入を得ようとすると深夜のコンビニバイトをしたり、夜間の清掃や警備員の仕事をしたり大変でしょ。

不動産投資なら何もせずに楽に大儲けって、そんなに甘くはありません。

でも低金利で資金を調達できたり、そもそも不動産を相場より安く買えたりすれば別です。

株式投資でもそうですが、購入する銘柄は値上がりしそうな銘柄か、安定した配当が得れる銘柄でしょ?

安定した配当があり、なおかつ値上がりしそうな銘柄があれば手に入れたいですよね。

不動産投資も同じです。

ただ株式と違い、不動産は建物が付いていますので年数とともに資産は減少します。

海外の不動産は築年数が経っても値下がりはしないのですが、それはメンテナンスをきっちりしているからで、日本では建物価値は年々減少するという評価をされています。

その資産の目減り分くらいはキャッシュフローでしっかりと稼がないと不動産投資をする意味がありません。

『30年間返済続ければこの不動産はあなたのものです。しかも、その返済は家賃として入居者が支払ってくれます。』

このパターンが一番危ないやつです。

そういう営業トークで売りつけられるのはほとんど投資用ワンルームです。
投資用ワンルームって、建物価値がほとんどですから、土地持分はほとんどありません。

30年経って資産価値が大きく減少している不動産をその時点で自分のものにできても何の意味があるのでしょう。

なので、それに付随して『節税効果』というオマケをつけているのです。

それがバカ売れしているわけですから、すごい世の中です。

次から次に新築の投資用ワンルームが建築され完売していきます。

ビジネスモデルが確立しているわけですが、不動産の価値って何だと思いますか?

『希少価値』
駅前の土地が高いのは、数が少なく出回らないからです。

タワーマンション高層階も建物が限られていて、なかなか市場にも売りだされないからです。

南向きの角地、これも同様で、なかなか市場で出回らないから希少なのです。

全て共通されるのは希少性のある物件。
誰でもどこでも買える物件に希少価値はありません。

唯一無二の不動産には価格がつきません。
あなたの所有している不動産は希少価値のある物件でしょうか?
ほとんどの場合そうではないですよね。

それならばせめて魅力的な物件に生まれ変わらせたり、安定収入を図らなければ売り物にはなりません。

自分が購入した時点より、収益性を向上させる。
自分が購入した時点より、魅力的な物件に仕上げる。

これがより高く売却する秘訣です。

なので、将来過当競争に巻き込まれるような供給過多の間取りの物件、同じような物件が周りに多く供給されている物件などは避けた方が賢明です。

今で言うと1K25平米未満、ひと昔前ですと3点ユニットのワンルームです。
この辺りの物件は今後供給過多になり、過当競争に巻き込まれます。

せめて30平米を超える単身用物件は視野に入れておきたいところです。

3点ユニットのワンルームはもうすでに過当競争に巻き込まれ、家賃は大幅に低下しています。
最近購入した人は、最近の相場で試算してしますから問題ないでしょうが、以前の相場で試算して購入している方の多くは物件を手放しています。

うまく立ち回っている方は、その動向を読みながら市場が崩壊する前に売り抜いています。

そうならなければいけません。

投資用不動産は一生保有するものではなく、あくまで投資用なのでタイミングを計りいいタイミングで売却することを視野に入れた方がいいのではないでしょうか?

なので購入するときは、いずれ売却した時に売り抜けそうな物件というのが一つの目安になります。

まず満室にして、保有していてもOK、いい価格で買い手がつけば売却する。
この考え方がベストかもしれませんね。

いずれにせよ売却したくてもできないという物件は買ってはいけませんよ。

これだけはお気をつけください。